2分でわかるアメリカ

2011/02/18明暗分けた10年前の経営判断


10年前の2001年。ブリック・アンド・モルタルの会社が新興のネット企業に不採算部門を譲渡しました。前者は1971年創業で全米に500店以上の店舗を展開する書店チェーン2位のボーダーズ。きのう16日、会社更生法にあたるチャプター11の適用を申請しました。後者はアマゾン・ドットコム。時価総額が過去最高に達しています。

ミシガン州でボーダーズ兄弟がはじめた小さな古本屋は、独自の在庫システムや書店をコミュニティセンターにするとの戦略で成長、アメリカではどこに行っても、ボーダーズがあるというくらい、チェーンが広がりました。  

ボーダーズは1992年に小売大手のKマートに売却され、その後スピンオフされます。

新しい経営陣は、書籍のスーパーストアを目指し巨大店舗を何店もオープン、オンライン販売にも早い段階に参入、積極経営を進めました。しかし、その後大きな経営判断ミスをします。軌道に乗らなかったオンライン販売部門をアマゾンに譲渡したのです。

オンラインで本を買うのが一般的になり、さらに電子書籍が登場したのを受け、ボーダーズはオンライン販売に再参入しますが、時すでに遅し。先月から出版社への支払いが出来なくなりました。

ボーダーズが破たんしたのはネット時代だからしょうがない、という人が多くいます。確かにそうかもしれません。しかし、ライバルのバーンズ・アンド・ノーブルは、オンラインと従来店舗での販売をうまく使い分け、従来店舗にはスターバックスの店舗を入れたり、ヌークという電子書籍リーダーを販売するなどして生き残っています。

ボーダーズは、経営判断ミスが招いた破たんで多くの店舗を閉鎖、1万7500人いる社員の多くが職を失うことになります。今後、電子書籍と本以外の商品に経営の軸を移すそうですが、過去の判断ミスをカバーできるかどうか不透明です。

[February 17, 2011] No 010354

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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