2分でわかるアメリカ

2011/02/17失業率の数字にだまされるな


景気のバロメーターで先行指数とされる株式相場がもたついています。主要企業の決算がほぼ終わったのも理由の一つですが、「相場の方向を決める材料がない」からではないかと思われます。

雇用統計で失業率が大幅に低下して「景気が改善しているじゃないか」という人がいるかもしれません。しかし、マーケット関係者の多くは「失業率は意味がない」と考えています。

 今月初めに発表された雇用統計で、非農業部門の雇用増がわずかだった一方で、失業率が9.4%から9.0%に大幅に改善しました。しかし、これにはトリックというか、誤解を招きやすい算出方法があります。 

就業者数は、労働省が企業に対するアンケート調査の結果を基に算出します。これに対し、失業率は世帯調査で計算します。世帯調査では、積極的に求職活動をしている人のみが失業者と断定され職が見つからず職探しをあきらめた人は含まれません。後者は去年末時点で130万人以上いるとの調査があり、年明け以降も増えていることが予想されます。

雇用の分析で定評があるキャピタル・エコノミストのポール・アシュワース氏はCNBCに対し「本当の失業率は10%を大幅に超える」と答えています。

バンク・オブ・アメリカ・メリル・リンチのエコノミストであるニール・デッタ氏はリサーチの中で、構造的な失業者の増加と成長率の低さのコンビネーションで、投資家が景気に楽観的になれない」と指摘しています。

こうしたエコノミストの分析は、こちらで暮らしている実感と一致します。確かに、レストランやショッピング・モールに以前と比べ人が戻っていますが、「景気が回復した」とはいえない状態だと思います。

[February 16, 2011] No 010353

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2019.02.20 更新16州がトランプ氏提訴、勝算は「トランプ大統領がメキシコ国境に壁を建設するため国家非常事態を宣言したことは憲法違反だ」。16の州が18日、トランプ大統領を相手にサンフランシスコ連邦地裁に提訴…
  • 2019.02.16 更新トランプ非常事態宣言、次に起こることアメリカのトランプ大統領が15日、ホワイトハウスで記者会見し、メキシコとの国境に壁を建設するため、非常事態を宣言しました。壁があれば、麻薬ディーラーやギャングの…
  • 2019.02.15 更新アメリカが買わないA380ANAがエアバスA380の就航に合わせてハワイ便を刷新する計画です。ハワイ路線で初めてファーストクラスを導入、5月24日に成田ホノルル便が就航します。8席しかな…
  • 2019.02.14 更新トランプ大統領、アカデミー賞みる?メキシコとの国境の警備を強化するための予算案で、与野党が11日までに原則合意しました。14日に上下両院が採決し、可決する方向。法案がホワイトハウスに送られること…
  • 2019.02.13 更新現金ポジション膨らむ、両極端な見方ファンドマネジャーを対象にしたバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの最新の調査で、キャッシュ・ポジションが、2009年1月以降、つまり過去10年で最大規模になっ…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ