2分でわかるアメリカ

2011/02/01ツイッターが歴史を変えた


1989年にベルリンの壁が崩壊したあと、僕は旧東ドイツに住む3人家族を定期的に訪問しました。東西ドイツ統一が、暮らしをどう変えたかを取材するためです。初めて訪問したとき、40代前半の父親は、冷戦中は市民スパイや盗聴を恐れ、毛布にくるまって西側のラジオを聞くなどして、情報を集めていたと語っています。

1990年にイラクがクウェートに侵攻、翌1991年にアメリカ軍を中心とする軍隊がイラクを攻撃しました。地上戦そして空爆の様子は、CNNによって世界に報道されました。世界の世論はCNNの映像を見てつくられていきました

そして今年2011年。中東で最も安定していたムバラク政権が崩壊の危機にあります。首都カイロ中心部に30歳以下の若い市民が先週から集まりはじめました。きっかけはツイッターでした。ネットで、30年続いたムバラク大統領の独裁に抗議する集会への参加がリツイートされました。

反政府の抗議デモが拡大、軍などの治安当局との衝突が激しくなると、その映像はユーチューブにアップロードされました。燃え上がる政府ビルと黒煙、戦車、そしてムバラク独裁への抗議の声を50万人以上の人が見ました。

緊迫するカイロ市内の映像を見たアメリカ人や在米のエジプト人は、ロサンゼルスでも大規模な集会を開きました。ジャーナリストは、ツイッターとユーチューブを情報源にして報道、中東諸国はムバラク大統領が辞任するまで抗議を続けるようツイッターで呼びかけています

エジプトはアメリカの同盟国であり、毎年10億ドル以上をエジプト軍に支援しています。エジプトは、イスラエルとアラブの仲介者で、政治的にも重要なパートナーです。スエズ運河は貿易の重要拠点で、アジアとヨーロッパの窓口、そしてアラブの石油を世界に運ぶルートでもあります。

そのエジプト、そして中東全体の歴史を、アメリカ発のソーシャル・ネットワーク・メディアが変えようとしています。新しいメディアは、世界に残る独裁政権国家を予想以上に早く変えるかもしれません。 

[January 31, 2011] No 010341
 


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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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