2分でわかるアメリカ

2010/03/25予想されていたユーロ危機


きょうは、アメリカではなく海の向こうのヨーロッパの話です。ギリシャやポルトガルのニュースがアメリカでも大きく取り上げられているほか、僕自身ブリュッセルを拠点に取材していたことから、ユーロに対する思い入れが人一倍あるからです。ちょっと固い話かもしれません。


  91年末、僕は欧州連合の創設を決めたマーストリヒト首脳会議の会場にいました。この会議で外交や安全保障の共通化の他、単一通貨の創設が決まりました。当時、関係者の間で話題になっていたのは、南北格差の問題でした。具体的には、英独仏などの北側に位置する国とギリシャやポルトガルなどの南側に位置する国との経済格差があまりに大きく、「同じ通貨にして大丈夫か」と言うことでした。

マーストリヒト会議の数ヶ月後に、今度はリスボンに行きました。当時の欧州連合の最貧国だったポルトガルの首都に、EUの旗が立てられた新しいビルが次々と建設されていたのを今でも良く覚えています。恐らくポルトガルは、ユーロを導入した欧州連合の中で最も恩恵を受けた国ではないでしょうか。

2002年に正式に導入されたユーロ導入国には、「財政赤字はGDP(国内総生産)の3%以内にしなさい」というルールがあります。しかし、現在のギリシャの財政赤字は12%強、ポルトガルは9%台と基準を満たしていません。
今振り返ってみると、ギリシャとポルトガルがこうなるのは、予想されていたことだったのです。2004年には、ギリシャがユーロ導入の際に提出した数字が‘うそ’だったことも判明しています。

単一の通貨をつくるという発想は、アメリカドルを基軸通貨とする固定相場制を定めたブレトンウッズ体制の崩壊、つまりニクソンショック後の変動相場制の導入で為替相場が貿易に影響するということから生まれました。アメリカでは、「ヨーロッパの混乱で強いドルが維持出来る」という見方も出ています。

しかし、EUは過去に何度もの危機を乗り切っていて、ギリシャとポルトガルの問題は難題ながら、最終的には解決し、安定に向かうのではないかと思います。

[March 24, 2010] No 01018

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2018.05.26 更新「溶岩の川」、噴火で50%キャンセルメモリアルデーが絡む今週末の連休に、知人がハワイで結婚式をあげます。日本人だけではなく、ハワイで人生の新たな門出を誓うアメリカ人が意外に多い。知人が結婚式の会場…
  • 2018.05.25 更新輸入車25%関税の衝撃トランプ政権は23日、自動車の輸入が安全保障におよぼす影響について調査を開始すると発表しました。予想されていたことですが、それでも世界に衝撃を与えました。アメリ…
  • 2018.05.24 更新微妙な関係、米朝首脳会談と米中貿易協議トランプ大統領は22日、訪米した韓国の文在寅大統領とホワイトハウスで昼食をはさみ2時間にわたり会談しました。北朝鮮の体制維持などで意見を交換したもようです。会談…
  • 2018.05.23 更新「相当な確率でビットコインはゼロに」去年後半から年初にかけて世界を騒がせたビットコイン。一時は2万米ドルまで上昇するとの強気な見方がありましたが、最近では聞きません。低調な取引が続き、8000米ド…
  • 2018.05.22 更新「夜の灯」で景気判断、独裁国はGDP水増し?ワシントンポストに興味深い記事が掲載されました。中国、ロシア、その他の独裁国家がGDPを15〜30%「水増し」していることを衛星写真が強く示唆しているというもの…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ