2分でわかるアメリカ

2011/01/28シシフォスの岩


ギリシャ神話にシシフォスという人物が登場します。シーシュポスとかシーシフォスと日本語で表記されることもあります。フランス人作家のアルベール・カミュの著書「シシフォスの神話」の中で、悪い王だったシシフォスが地獄に落ち、山頂まで巨大な岩を運ぶことを命じられます。山頂近くまでようやく運ぶといつも重い岩が滑り落ちてしまいます。これを「シシフォスの岩」と言います。

現代では「シシフォスの岩」を「徒労」というネガティブな意味で使用しますが、「目標に向かって働き続ける」という意味で使われることもあります。

フィラデルフィア連銀のチャールズ・プロッサー総裁は「明確にインフレ目標を設定することは、シシフォスの岩のようなものだ」と主張しています。インフレターゲットを設定すれば、FRBの政策がより明確になり、やりやすいと言っているのです。

ウォール・ストリート・ジャーナルによりますと、FRBのベン・バーナンキ議長は去年、公式にインフレターゲットを設定するよう提案しましたが、金融政策を決めるFOMCのメンバーの賛同を得られませんでした。

FRBは非公式に「約2%のインフレ率を目標にしている」と表明しています。FRBは、過去に何度も公式なインフレターゲットを決める議論がありましたが、過去に一度も設定されたことはありません。

ヨーロッパの中央銀行であるECBやイングランド銀行、カナダの中央銀行は公式にインフレターゲットを設けています。2%前後が一般的で、ターゲットを実現するためにあらゆる金融政策を実施していきます。このところ、ユーロ圏やイギリスの物価上昇率がターゲット以上に上昇していることを示す経済指標が発表されていて、「金利引き上げ」の観測が広がっています。

 バーナンキ議長は、インフレターゲットを公式にすることを今年も目指しています。去年までは「デフレ」が背景でしたが、仮に決まったとしても、そのときには「インフレ」対応のターゲットになっているかもしれません。
 

[January 27, 2011] No 010339

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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