2分でわかるアメリカ

2011/01/27国民を苦しめる国民のための法律


バラク・オバマ大統領がホワイトハウスの住人になってから2年が経ちました。一般教書演説では自信が溢れていました。

オバマ政権下で、医療保険改革法と金融規制改革法の2つの主要な法律が去年成立しました。歴史的な法律で、オバマ大統領の偉業とされています。

しかし…2つの歴史的な法律がアメリカ人を苦しめています

国民皆保険がなかったアメリカで、誰もが安心して医療を受けられることを目的に成立した医療保険改革法の成立を受け、保険各社が一斉に保険料を値上げしました。例えば、カリフォルニアの大手保険会社であるブルー・シールドは、3月1日から最大で59%保険料を値上げします。他の保険会社も同様です。

金融規制改革法も消費者にとって本当に良い法律なのか疑問に思うことが多くあります。例えば、僕が口座を持っているJPモルガン・チェースは、これまで口座の維持費が無料でしたが、今後7500ドル以上の平均残高がないと毎月手数料が引き落とされます。口座を閉じ、文字通りタンス預金をする人が増えているそうです

クレジットカードの審査も厳しくなりました。また、住宅ローンを申請した人には厳格な審査があり、住宅価格が下がり金利が低下してもローンを組んで買える人はほんの一握りの人です。僕の友人の一人も審査で落とされ、住宅購入を断念しました。

2つの新法は画期的な法律だと思いますが、結果として企業の負担が増え、コスト増は消費者に転嫁されます。結局、お金持ちだけが、世界最高の医療を受け、金融機関からは世界最上のサービスを受ける歪んだ構図は変わりません。いや、さらに悪くなったかもしれません。

去年11月の中間選挙で大勝した野党共和党は、医療改革法の改正を早くも訴えています。オバマ大統領の行動力は、歴代の大統領と比べても、極めて優れた政治家だと思います。しかし、国民を思って作った法律が、国民を苦しめているという現状をみると、巨大な国アメリカを変えるのは、本当に難しいことだと思います。
 
 

[January 26, 2011] No 010338

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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