2分でわかるアメリカ

2011/01/21ひきつった笑顔と新冷戦時代


23年前の12月8日。当時のソビエトのゴルバチョフ書記長がワシントンを訪問、当時のレーガン大統領と中距離核戦力全廃条約に署名しました。僕は当時、ワシントンで米ソ首脳会談の取材チームに加わっていたのですが、署名後の両首脳の表情がいまでも目に焼き付いています。緊張の中の本物の笑顔でした。

中国の胡錦濤国家主席が公式訪米中ですが、オバマ大統領との首脳会談後に開かれた共同記者会見の中継をテレビで見ました。23年前の米ソ首脳会談のときに感じた独特の緊張感がありました。

オバマ大統領は、中国とのパートナーシップの重要性を強調しながらも、人権、通貨、通商の問題などで意見の相違があったことを明らかにしました。特に1時間の会見のうち、ほとんどの時間は人権問題に費やされました。オバマ大統領が、隣の胡錦濤主席に気を使いながら、中国との文化の違いや考え方の違いを説明するのですが、聞けば聞くほど、首脳会談では全く進展がなかったという印象が残りました。

胡錦濤主席は、「中国は大きいため難しい」として、人権問題に取り組んでいるが民主化に時間がかかることを説明、最後には、アメリカと違って「中国は発展途上国である」とまとめます。結局、アメリカが何を言おうとゴーイング・マイウェイでいくとしか聞こえませんでした。

アメリカのメディアは、首脳会談で大きな溝があることが浮き彫りになったと伝え、「笑っていない」2人の首脳の写真を掲載。ベイナー下院議長は胡錦濤主席が主催する夕食会の招待を拒否、ハリー・レイド上院議員は「胡錦濤主席は独裁主義者」と酷評しています。

23年前のレーガン、ゴルバチョフの2人の首脳の顔にあったのは相違を乗り越えた本物の笑顔でした。対照的に、オバマ、胡錦濤の米中首脳には、偽物のひきつった笑顔がありました。CNBCは「新冷戦時代」と題するコーナーで対中問題を議論していました。
 
 
[January 20, 2011] No 010334

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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