2分でわかるアメリカ

2011/01/15人民元切り上げは本当に必要?


中国の胡錦濤国家主席が来週、アメリカを公式訪問します。公式訪問とは、国家元首であるオバマ大統領が正式に招聘し、歓迎式典からはじまり大統領主催の晩餐会までプロトコールに従った訪問を指します。ちなみに、日本を公式訪問する国家主席は、夕食は首相ではなく天皇陛下主催の晩餐会に出席します。

胡錦濤主席の訪問が近くなったことで、アメリカのメディアで中国関連のニュースが増えました。特に多いのは、米中首脳会議で、オバマ大統領が人民元の切り上げを強く求めるだろうという記事です。12日にジョンズ・ホプキンス大学で演説したガイトナー財務長官は「人民元のレートは意図的に低く抑えられている」と強い口調で語り、人民元の切り上げを求めました。

本当に人民元の切り上げは必要か。人民元が切り上がると一番困るのはアメリカではないかと思うことがあります。ハイテク製品から文具、玩具、洋服まで、いまやアメリカ人の生活はメイド・イン・チャイナなくして成り立ちません。人民元が切り上がると、モノの値段が上がり不況で苦しむアメリカ人の生活を圧迫するか企業の業績を圧迫するかのどちらかになります。

もう一つ。これはニューヨーク・タイムズが指摘しているのですが、人民元は去年の夏からおよそ半年間で3%上昇しています。さらに物価上昇分を換算すると、実質的に5%切り上がった計算になります。エコノミストの一部は何もしなくても人民元は2年以内に適当とされるレートに上がると予想しています。

ただ、政治的な問題は別です。去年11月の中間選挙で、「雇用悪化の責任は中国にある」と主張する候補者の多くが当選しました。オバマ大統領は、2年後の再選選挙を控え、強いリーダーを演出する必要があります。

ピュー・リサーチによりますと、アメリカ人の半数近い47%が、世界で最も影響がある国は中国だと答えています。中国の経済規模はアメリカの5分の2、一人当たりのGDPはアメリカの10分の1です。中国共産党系の新聞の調査では、中国が超大国だと思っている中国人は12%しかいないそうです。米中に大きなギャップがあります。
 
 

17日(月)アメリカの祝日です。マーケットは休場のためレポートはお休みします。18日に再開します。

[January 14, 2011] No 010331

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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