2分でわかるアメリカ

2011/01/11スポーツ店で簡単に銃が買える国


アリゾナ州南部の静かな街のスーパーマーケットの前で起きた銃乱射事件はアメリカ社会に大きな衝撃を与えました。

22歳のジャレッド・ロフナー容疑者は8日の朝、下院議員のガブリエル・ギフォーズ議員が出席した集会に参加。ギフォーズ議員に背後から近づき、後頭部左側に向けて発砲しました。

銃弾はギフォーズ議員の頭を貫通、議員は奇跡的に一命を取り留めましたが、再びワシントンのオフィスに戻れるかどうかは余談を許しません。ロフナー容疑者は、議員が倒れた後、銃を乱射しました。9歳の少女と裁判官を含む6人が死亡、14人が重傷を負いました。

過去にあった銃乱射事件は、お金に困ったとか、恨みをもっていたなど犯人の動機が明確でしたが、今回の事件は背景がわかりにくいのが特徴です。「2007年から議員の暗殺を計画していた」とか、「アメリカに新しい通貨を導入しようとしていた」など伝わってくる情報からは、犯人像、犯人の動機がみえてきません。

もっと怖いのは、ロフナー容疑者が、合法的に銃を買い、合法的に銃を持ち歩いていたことです。銃を買ったのは近所のスポーツ店。形式的な審査はありますが、21歳以上であれば誰でも買えます。しかもアリゾナ州では成人なら誰でも銃を衣服の中などに隠し持って携帯できるという法律が去年成立したばかりです。銃を簡単に買って、いつも持ち歩けるのです。

10日はアメリカ全体が喪に服しました。議会だけではなく、全米で半旗が掲げられました。大統領や議員の警備が強化されることは明らかですが、身を守るため銃を買い持ち歩く一般市民が増える可能性が指摘されています。

11年前のコロラド州で起きたコロンバイン高校乱射事件。マイケル・ムーア監督が映画化したこの事件は、「銃社会アメリカ」の歪みを描き出しました。それ以来、スーパーマーケットでの銃の販売が停止され、アリゾナやカリフォルニアなど一部の州で、銃を買う人に精神病の病歴などをチェックする法律が施行されました。しかし、ロフナー容疑者が、精神病の疑いがあったにも関わらず、スポーツ店で簡単に銃を買っていたことが明らかになり「何も変わっていない」ことが表面化しました。

[January 10, 2011] No 010327

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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