2分でわかるアメリカ

2019/04/18アメリカが報じない日米交渉

日米両政府が15日と16日の2日間に渡ったワシントンでの閣僚級の貿易協議を終えました。農産物と自動車を含む物品貿易の議論を先行、データ貿易も交渉に含めることで一致したとされています。

日米交渉について日本の主要メディアが大きく報じました。一部は物品貿易交渉(TAG)の交渉が始まったと伝えました。報道の情報源は日本政府らしく、日本の交渉団を率いた茂木経済財政再生相の発言がニュースの軸になっています。

しかし、アメリカ側の交渉責任者であるライトハイザー通商代表の発言や交渉に参加したアメリカ高官の発言が伝わりません。日米交渉に関するアメリカの報道は極端に薄い。

米中貿易交渉をめぐる連日の詳しい報道やEUとの通商協議に関するニュースと対象的。グーグルなどで検索すると日本との貿易交渉に関する記事は少し引っかかりますが、日本の報道にある「TAG」という表現をアメリカのメディアで探すことはできませんでした。

関心が低いのか。日本は世界第3位の経済大国であり、貿易赤字が大きいのでそうではないと思います。本格的な交渉がまだ始まっていない。中国との交渉が優先され、それが終わってからアメリカ政府が本腰を入れるとみられます。

ただ、トランプ政権が短期的に農産物で成果を出すことを狙っている可能性があります。農産物をめぐってはアメリカ商工会議所のトップが日本との早期合意を求める寄稿文をCNBCのウェブ版に投稿。トランプ大統領の支持基盤からも牛肉、豚肉、小麦、麦などの対日輸出増を求める声があがっています。

安倍首相が来週訪米。トランプ大統領は5月と6月に2回にわたり訪日する見通しです。このいずれかのタイミングで、とりあえず農産物で合意。自動車や為替条項を含む包括的な貿易協定についてはいずれ時間をかけて協議する可能性が高そうです。

気になるのはトランプ大統領の不規則な行動や発言。カナダとメキシコの北米2カ国とNAFTAに代わるUSMCAをまとめましたが、2カ国に対する鉄鋼やアルミニウムの関税はそのまま。それだけではなく、トランプ大統領はメキシコから輸入する自動車に新たな関税を導入することを示唆しています。

日米交渉が農産物でまとまったとしても、日本政府が望む方向になるかは不透明と言えそうです。貿易をめぐる日米交渉の歴史は、日本がアメリカの要求をほぼ受け入れた歴史でもあります。

[April 17, 2019] No 031844128


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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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