2分でわかるアメリカ

2019/04/16中央銀行の独立性が危ない

「トルコの中央銀行は完全に独立する必要がある」ギリシャ、ポルトガル、アイスランド、そしてウクライナへの金融支援で中心的な役割を担った国際通貨基金(IMF)のヨーロッパ部門幹部のポール・トームセン氏がCBNCにコメントしました。

インフレ抑制のため金融引き締めスタンスを継続するトルコの中央銀行は、「利下げがインフレを抑える」と非伝統的な主張をするエルドアン大統領から繰り返し批判されています。3月末の統一地方選の前には、政府の圧力を受けトルコリラの空売りを不可能にする措置をとり、投資家の間で不信感が広がりました。トームセン氏の発言は、エルドアン大統領の金融政策への介入をけん制したものと受けとめられました。

世界最大経済のアメリカでも中央銀行の独立性が危ぶまれています。トランプ大統領は14日、「FRBが適切な仕事をしていれば、株価指数がさらに5000から10000ポイント上がっていただろう」とツイッターに投稿しました。「インフレ率が上がることなく、GDPが3%ではなく4%になっていただろう。FRBはまさに逆の政策をしている。量的引き締め策は間違いだ」と続けました。

ワシントンでは、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に続くIMF総会が開かれていました。トランプ大統領がFRBのパウエル議長を批判していることは誰もが知るところですが、IMF総会中を狙ってあらためてFRB批判をしたことで、各国の財務相、中央銀行総裁の間で懸念が広がりました。

「他国の中央銀行の独立性が心配だ。特に世界で最も重要な国で」。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が週末の記者会見でこう述べました。アメリカを指していることは明らかです。

ウォールストリートジャーナルは、トランプ大統領のFRB攻撃がIMF総会に暗い影を落としたと詳しく報じました。トランプ大統領が政治的に近い2人をFRB理事に指名する意向を示していることも懸念されたとしています。FRBのイエレン前議長はウォールストリートジャーナルのインタビューで、「単純に政治的な目的で起用された人物が会合のテーブルにいると障害になる可能性がある」と述べました。FRBの独立性がこれほど話題になるのは、アメリカの歴史上初めてはないかと思います。

[April 15, 2019] No 031844126

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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