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2019/02/12エルパソ対決、物理的壁とバーチャル壁

連邦議会の超党派17人で構成される特別委員会が週末、政府機関が再び一部閉鎖することを回避するため、メキシコ国境の警備強化と不法移民問題について協議しました。妥協案で合意し、11日正午に与野党が合同で発表する計画でした。

しかし、記者会見はキャンセルされました。民主党が、不法移民の強制送還者数を制限することを求めたことが交渉決裂の原因だと報じられました。

特別委員会のリーダー的存在である共和党議員2人と民主党議員2人の合計4人が11日午後、個別に再協議する方向。トランプ大統領が固執する「国境の壁」の建設予算が交渉の最大の課題ですが、不法移民問題が絡み非常に複雑。期限の2月15日を週末に控え、予断を許さない状況です。

こうした中、トランプ大統領が国境の町エルパソを11日に訪問。

人口約65万人のテキサス州最西端に位置するエルパソ。中心部からメキシコ国境までは徒歩で20分ほどの距離です。2006年に成立した法律で、一部にフェンスが建てられています。フェンスは中国製だそうです。エルパソは凶悪犯罪率が低く、人口50万人以上の都市では全米で最も治安が良いとされています。トランプ大統領は、フェンスがあるから治安が良いと自らの主張を正当化するのが集会の狙いです。

トランプ大統領の訪問に合わせる形で、ベト・オルーク前下院議員が集会を開きます。エルパソ出身の若手政治家。2018年の中間選挙で異例の僅差で共和党のテッド・クルーズ上院議員に敗れたことで、全米で知られる存在になりました。共和党支持の強い州で善戦したと。

オルーク氏は、2020年の大統領選に民主党から出馬するとみられています。治安が良いのは、フェンスではなく、人口の過半数を占める移民が「善良な市民」だからだとトランプ大統領に対抗する主張をすると予想されます。

アメリカとメキシコが国境を接する距離は3145キロ。このうちエルパソを含め930キロにフェンスやコンクリートの壁が既にあります。残る2215キロに物理的な壁を建設するためには予算が必要。トランプ大統領は支持基盤の地域で製造されるアメリカ製スティールの壁を建設すると主張していて、割高になることは明白。一方、民主党は、壁やフェンスではなく、センサーや監視カメラなど「バーチャルな壁」で十分だと主張しています。国境警備強化では一致しているものの、物理的とバーチャルでお互い歩み寄る気配がありません。

2020年の大統領選が視野に入り「壁」で対立、政府機関の一部が「人質」になっている構図です。

[February 11, 2019] No 031844082

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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