2分でわかるアメリカ

2010/12/08豪ドルは何故リスク資産か


2008年の金融危機以降、マーケットでは投資先を安全資産とリスク資産の2つに区別する傾向が強まっています。安全資産またはセーフへーブンズとされるのは、世界で最も信用力が高いアメリカの国債やドイツ国債、そして通貨ではドル、円、そしてスイスフランです。これに対し、リスクが高いとされるのは株式、そして通貨では資源が豊富な国の通貨やユーロなどです。

アイルランドの債務危機が深刻化した際、あるいは中国で景気が過熱したため利上げするとの観測が高まった時など、マーケットは世界景気の回復が遅れるとみて、より安全な米国債やドルなどを買うことが多くあります。その反面、世界景気が好転するようなニュースが出た場合は、オーストラリアドルやユーロが買われ、株式相場が上昇する傾向があります。

外国為替マーケットで、リスク資産の典型がオーストラリアドルです。国際決済銀行(BIS)によりますと、オーストラリアドルは、ドル、ユーロ、円、そしてポンドについで世界で5番目に取引されている通貨。特にドル/オーストラリアドルは外為取引で4番目に売買高が多い通貨ペアです。

安定している上に、流動性がある反面、オーストラリア経済は予想が難しく、インフレ率も高めです。議会は2大政党の労働党と保守党がいずれも過半数を確保できておらず、政局が不安定です。鉄鉱石やボーキサイト、チタン、金、原油など資源が豊富です。地理的な関係で、同じ資源が豊富なカナダや南アフリカと比べ、中国の成長の恩恵を受けやすいとみられています

ただ、外国為替の投資家の多くは、オーストラリアのファンダメンタルズには興味がなく、リスクのオンとオフでオーストラリアドルを買ったり売ったりしていますドル/オーストラリアドルの通貨ペアのチャートとニューヨーク株式相場の指数であるS&P500のチャートを比較すると今年はじめからほぼ一致していることがわかりますS&P500が上がるとオーストラリアドルも上がっています

ということで、オーストラリアドルがリスク資産とされるのは、「危ないから」ではなく、単純にオーストラリアドルは世界経済成長の代名詞になっているのです。アメリカとオーストラリアは地理的には遠いのですが、英語の国であり、白人の人口が多く、キリスト教徒が多い国でもあるので、親しみがあり、オーストラリアドルの相場はニューヨークのマーケットでも話題になることが少なくありません。  

[December 07, 2010] No 010304

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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