2分でわかるアメリカ

2018/05/10ディールブレーカー

フランスのマクロン大統領が2週間前に訪米した際、共同記者会見でトランプ大統領とハグした光景が印象的でした。ただ、それは「蜜月」を表したものではありませんでした。


トランプ大統領は8日、ホワイトハウスで演説し、イランをテロ支援国家だと断定。核合意は2度と結んではならないひどいディール(取引)だと批判しました。


その上でトランプ大統領は、イラン核合意から離脱、対イラン制裁を再開すると発表しました。最高レベルの経済制裁を発動すると強調しました。イラン核合意にとどまるよう求めたマクロン大統領の説得は実らなかったことを世界が知った瞬間でした。


「ディールブレーカー」。取引や交渉を仕掛ける「ディールメーカー」の反対語で、取引を破壊する人を指す言葉。欧米メディアが、トランプ大統領の形容詞として使用しています。


就任してから1年4カ月。トランプ大統領は、日本も絡むTPPや、気象変動対策をめぐる国際的枠組みのパリ合意からの離脱を早々と決めました。カナダ、メキシコとのNAFTAからの離脱もちらつかせています。さらに、アメリカ国内の環境規制と、オバマ大統領が最重要視していた医療保険制度改革法を白紙に戻そうとしました。


イラン核合意からの離脱は、ディールブレーカーのトランプ大統領による最新の動き。サプライズはありません。欧米を中心に批判は多いものの、その判断が正しいかはまだわからない。マクロン大統領とも話し合ったイランの核を抑止する新合意が近い将来に成立するかもしれません。


トランプ大統領は、歴代のアメリカの大統領の中で最も異例で、型破りだと思います。ディールブレーカーですが、大胆な税制改革を早期に成立させたことでウォール街の受けは悪くない。北朝鮮との首脳会談も即断。朝鮮半島の平和安定への期待が高まっています。


未来の歴史の教科書は、アメリカの第45代大統領をどう評価するのでしょうか。世界を混乱させた最悪の大統領。それとも世界の秩序を変えた偉大なリーダーか。


[May 09, 2018]  No 031843893

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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