2分でわかるアメリカ

2018/03/30「新冷戦時代」に突入?

イギリスのソールズベリーで、二重スパイとされるロシア人のセルゲイ・スクリパリ氏と娘のユリアさんの親子が神経剤で襲われた事件。殺人未遂事件が、アメリカを含むNATO加盟国とロシアの激しい対立を招く結果となりました。


ロシアのラブロフ外相は29日、在モスクワのアメリカ大使館の58人の外交官と在エカテリンブルク領事館の2人、合わせて60人のアメリカ人外交官が4月5日までに国外に出るよう要求したと発表しました。アメリカのトランプ政権が先に、ロシアの外交官60人を国外追放したことへの報復措置。


また、ロシア政府は、サンクトペテルブルクにあるアメリカ領事館の閉鎖を発表しました。トランプ政権がシアトルにあるロシア領事館を閉鎖することに対抗したもの。


ロシア政府はさらに、ドイツをはじめNATO加盟国の90人以上の外交官を国外追放することも決めました。スクリパリ事件の背後にロシア政府がいる可能性が極めて高いとしたイギリスのメイ政権を支持したことへの報復です。


ペルソナ・ノン・グラータという外交用語があります。ラテン語で「好ましからざる人物」という意味。短期間に、世界でこれほどペルソナ・ノン・グラータが出たことは極めて異例。報復覚悟で動いたアメリカとイギリス、そしてNATOやEU加盟国。それと同じ人数の外交官をペルソナ・ノン・グラータにしたロシア。冷静時代に戻ったような動きでした。


次に予想されるのは、アメリカなどによる対ロシアの経済制裁の強化。イギリス政府は国内に住むロシアの富裕層に厳しい対応を取る可能性があります。そうなれば、ロシアが再び報復措置を講じるとみられます。NATO加盟国とロシアの応酬が続きそう。2018年は「新冷戦時代」の元年になるかもしれません。


[March 29, 2018]  No 031843869

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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