2分でわかるアメリカ

2018/03/10異例好きのトランプ、準備万端の北朝鮮

「前例がない」。日本の役人や古い体質の大会社幹部が好んで使う言葉だと聞くことがあります。前例がないからダメというネガティブな使い方。

対照的にアメリカの第45代大統領は「異例」好き。歴代の大統領が誰もやらなかったことを自分で決め、実行する。グローバル化に逆行する過去1年強の政策は、いずれもトランプ大統領が「前例がない」をポジティブな意味で解釈したものだと思えます。

メディアの注目を集めるのも大好き。トランプ氏を全米ブランドにしたのは、「見習い」を意味する「Apprentice(アプレンテス)」というNBCの番組。トランプ氏が経営する会社で、右腕で働く人材を決めるリアリティショー。「You’re fired(お前はクビだ)」というトランプ氏の決まり文句が流行語になりました。ホワイトハウスではいま、テレビ番組さながらのドラマティックな展開が繰り返されています。

米中首脳会談が5月に開催される方向になりました。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長からの要請を、異例で目立つことが好きなトランプ大統領が快諾したもの。

ただ、アメリカ政府の準備ができているとは言えません。外務省に相当するアメリカ国務省のユン北朝鮮担当特別代表が2日に退任。在韓大使もまだ決まっていません。いきなりのトップ会談は北朝鮮非核化のチャンスであるものの、リスクが高すぎるという指摘が少なくありません。

一方の北朝鮮。李容浩(リ・ヨンホ)外相は、7年前のアメリカを含めた6カ国協議の首席代表。6カ国協議などで「謎の通訳」と囁かれた北米局長の崔善姫(チェ・ソンヒ)氏が今月、外務次官に昇格しました。ワシントンポストは、金正恩委員長は2つのサミットの準備をしていたとアナリストが指摘していると伝えました。米韓軍事演習を控えた4月の南北首脳会談と5月の米朝首脳会談の2つ。

昨日8日は、米朝首脳会談の開催と鉄鋼とアルミニウムの輸入制限というホワイトハウスの2大ニュースがありました。「トランプ劇場」がまだまだ続きます。

 [March 09, 2018]  No 031843855



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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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