2分でわかるアメリカ

2010/11/25ファンド業界を震撼させる疑惑


ウォール街で働くアナリストの友人が何人かいます。その内の2人は証券アナリストです。例えば、石油業界や自動車業界を専門に分析、社内だけではなく、ヘッジファンドなどクライアントに情報を提供するのが仕事です。カバーする企業のIR説明会だけではなく、企業を訪問、関係者に直接会って情報を収集します。  
こうしたアナリストの活動の一部が法を犯している可能性が出てきました。

証券業界を監視するSECと連邦レベルの捜査機関であるFBIは、3年に渡って「インサイダー取引」の実体を調査してきました。その結果、想像以上にインサイダー取引が多いことが分かりました。「公開された情報以外に内部情報を得て取引するため、公平性が確保されていない」ということです。

今週の月曜日23日、FBIの捜査官がコネチカット州にある3つの大手ヘッジファンドのオフィスを一斉に捜査しました。インサイダー取引の疑いがあるためです。インサイダー取引というと、通常は特定のいち企業の内部情報を公表前に入手して利益を得たケースがほとんどですが、今回はほぼ全ての証券取引が対象です。

アナリストやファンド・マネージャーが、取引に関係する企業の会社の役員や従業員に個別に面会または連絡を取り情報を入手していないか、徹底的に調べられています。アナリストやファンド・マネージャーは投資対象の企業に属する人とコーヒーを飲んだり、面会してはいけないのか。友人とか家族の場合はどうか。グレーと黒の線引きは難しそうです。でも捜査当局は「黒」の証拠があるようです。

きょうは新たに、ニュージャージーの情報提供会社の幹部が逮捕されました。ジャナスなど大手のミューチュアル・ファンド会社が次のターゲットという報道もあります。捜査は業界全体に広がりそうです。いずれにせよ、今回の一連の当局の捜査は、長い証券取引の歴史の中でグレーだった取引にメスを入れるものになりそうです。CNBCのコメンテーターで元ヘッジファンドのマネージャーだったジム・クレーマー氏は「公平性が高まり、捜査は大歓迎」と語っています。

明日25日は、米国市場が休場となることからレポート掲載はお休みとさせて頂きます。26日は通常通りです。

[November 24, 2010] No 010296

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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