2分でわかるアメリカ

2018/01/20通貨安がいい、トランプ大統領の本音は

アメリカのトランプ大統領が就任してから20日で丸1年。1年前の就任演説は「We will make America Great Again(アメリカを再び偉大にする)」と題するもので、アメリカ第一主義を進めることを誓いました。

アメリカ経済は堅調。失業率は17年ぶりの低水準の改善。企業の収益が増加し、株価は1年で20%超上昇しました。ただ、主要通貨に対する動きを示す米ドル指数は1年で約10%低下しました。CNBCは「トランプは、米ドルを再び偉大にしなかった」と伝えました。

トランプ大統領は、正式に就任する少し前、「米ドルが強すぎる」と発言しました。これを受けて、米ドルのロング(買い)ポジションの多くが解消されました。就任後は通貨の水準について直接的な発言はありません。ただ、米ドルは過去3年で最も低い水準で取引されています。対ユーロでの下げが目立ちます。

米ドルはこれまで、米国債に連動することが多くありました。米国債の利回りが上昇すると米ドルが買われ、利回り低下の局面では米ドルが売られました。しかし、2018年に入り、連動性が薄れています。米国債利回りが上昇したにもかかわらず、米ドル相場が下落することが多くなりました。FRBが追加利上げの方向にありますが、米ドルは軟調です。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのストラテジストは、投資家がアメリカではなく、ヨーロッパや日本の動向に敏感になっているとCNBCにコメントしました。ECBが景気刺激策を終了、日銀が量的緩和を縮小する方向にあるとの見方が米ドル売り、ユーロ買い、円買いにつながっているとしています。

BofAメリルリンチのストラテジストも類似した見方。米ドルが第1四半期(1-3月)に上昇すると予想していたが、外国の中央銀行がそれに逆らう動きを示しているとコメントしました。

アメリカを再び偉大にするために通貨安が好ましい。これがトランプ大統領の本音なのかはわかりません。ただ、通貨安の恩恵で、アメリカ企業の輸出が増える結果になっています。

 [January 19, 2018]  No 031843821

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2018.11.17 更新米ドル相場を押し下げた発言16日のニューヨーク外国為替マーケットで、米ドルの対円相場が113円台半ばから112円60銭台に急激に下落する局面がありました。アメリカの中央銀行にあたるクラリ…
  • 2018.11.16 更新FRB利上げ、打ち止め近い?11月に入り上昇基調にあった米10年債の利回りが低下傾向にあります。今週に入りずっと。米2年債、米30年債の利回りも同様です。背景には、FRBの利上げが予想より…
  • 2018.11.15 更新脚光浴びた2人のファーストレディ先週末からきょうまで、オバマ前大統領のミシェル夫人がアメリカの主要メディアに頻繁に登場しています。ミシェル夫人の回想録「BECOMING」が13日に発売されまし…
  • 2018.11.14 更新「米株の大底まだ」、米ドル高も影響?ダウが602米ドル安、ナスダックが急落した12日のニューヨーク株式マーケット。一夜明けた13日の取引では、高く始まったものの上値が重く、終盤に下げに転じました。…
  • 2018.11.13 更新株安は民主党のせい?12日は「ベテランズデー(退役軍人の日)」でアメリカの連邦祝日です。郵便配達を含め政府関係機関はサービスがなく、銀行も休業。しかし、ほとんどの学校で授業があり、…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ