2分でわかるアメリカ

2017/12/21「税制は簡単、2018年は醜い議論が展開しそう」

アメリカの税制改革が成立する見通しです。上下両院が可決した最終案は503ページ。ホワイトハウスに送られる書類の準備に時間がかかり、トランプ大統領の署名が新年になるかもしれないとNBCの議会担当記者が伝えました。いずれにせよ、トランプ大統領の最重要公約だった税制改革が法律になることが確実になりました。

トランプ大統領は20日の閣議で、「誰もが減税の恩恵を受ける」と述べました。しかし、議会予算局のほか、多くの研究機関が、企業と富裕層に恩恵となるが、低所得層には増税になると分析しています。60%超が税制改革に反対しているとの世論調査もあります。

批判にもかかわらず、共和党はなぜ税制改革に動いたのか。医療保険制度改革法(オバマケア)の代替の失敗を含め、議会はこれまで目立った功績がありませんでした。中間選挙を来年11月に控え、選択肢がなかったからだとみられます。500ページを超す法案を全て読んだ共和党議員はほとんどいないのではないか。

ワシントンポストは、「共和党の税制改革法案を可決するのは簡単。次は一段と醜くなりそうだ」とするコラムを掲載しました。これからが大変だとしています。

アメリカの国の借金は15兆米ドル(約1700兆円)。対GDP比で約80%。対GDP比が200%を超える日本と比べると低いものの、アメリカの借金は10年後に25兆米ドル(約2830兆円)に膨らむ見通し。日本と比べ、外国人投資家の保有が多いことが米国債の特徴です。

税制改革によりアメリカ連邦政府の借金は1兆米ドル〜2兆米ドル増えると試算されています。成長が加速しても減税分を補填できないと分析されています。

ワシントンポストは、議会は来年、メディケアやソーシャル・セキュリティといった社会保障費の削減を検討することになりそうだと伝えました。「2018年は人に焦点をあてる」とライアン下院議長が記者会見で述べました。

国民、特に低所得層や年金生活者の痛みを伴う審議は難航するとみられます。2018年の議会では、醜い議論が展開しそうです。
 

[December 20, 2017]  No 031843803

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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