2分でわかるアメリカ

2010/11/18ウォール街、最大のイベント


リーマンショックから2年あまりが経過。アメリカの失業率は高く、景気は依然として弱いままです。こうした中、破たんした自動車の巨人であるGM、ゼネラル・モーターズが18日、ニューヨーク証券取引所に再上場します。

GMの新規株式公開は、いくつかの意味で、アメリカが次の段階に進んだことを示すものです。

まず、税金の回収段階に入ったことです。アメリカ政府は、GMが破たんした際、経営再建のために約500億ドル(約4兆1500億円)の公的資金を投入しました。オバマ大統領は先週、「中間選挙の敗北の原因はGMの救済にある」との考えを明らかにしていますが、公的資金、つまり税金を回収出来るか、アメリカ全体が注目しています。

GMがこのタイミングで株式公開に踏み切った背景には、自動車市場が底を打ち、回復基調にあることがあります。政府の節税プログラムが押し上げる形で、アメリカ市場の自動車販売は右肩上がりで増加しています。節税措置が期限切れとなった先月も、GMの販売台数は前年比で13%増え、今年最高の売り上げを記録しました。中国インドロシアブラジルなど急速に拡大している新興国でGMは、確固たる地位を築いています。

旧GMの重石となっていた年金負担が大幅に減り黒字体質に変身従業員数は50万人から8万人と6分の1になりました。日本のJALの再建などと比べ、そのダイナミックさとスピードは、さすがアメリカだと思います。

旧GMは、トヨタと合弁したり、スウェーデンではサーブを買収するなどで拡大してきました。新GMのパートナーは中国です。上海汽船集団が5億ドルを投資し、発行株式の1%程度を取得する可能性も浮上しています。日本や欧州ではなく、中国と組むというのも次の段階に進んだことを示します。

GMは今回の再上場で130億ドル(約1兆円強)以上を調達します。規模は過去最高、話題性からいってもウォール街の今年最大のイベントです。

今後の相場を占う上でも、重要なイベントです。株式公開により、新GMの政府の出資比率は61%から33%まで下がります。アメリカを象徴する企業が「Government Motors」から「General Motors」に生まれ変わります。  

[November 17, 2010] No 010291

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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