2分でわかるアメリカ

2010/11/17G20は来年も期待出来ない?


ガイトナー財務長官は先週、ウォール・ストリート・ジャーナルアジア版に寄稿、日米欧によるG7での通貨問題の話し合いはもはや有効ではないと主張しました。欧米のメディアは、G20がG7にかわり、経済を中心とした世界の諸問題を解決する最も重要な会議になったと表現しています。

先週、ソウルで開催されたG20会議について、欧米では「実りがなかった」「残念な結果に終わった」ととらえ、懸案の通貨安競争や経常収支の不均衡などの問題で進展がなかったと結論づけています。多くの問題が来年に持ち越されたのですが、次期議長国となるフランスのサルコジ大統領は、早くも「あまり期待しないで」というメッセージを出しています。

サルコジ大統領は「やるべき仕事は途方もなく多く1年で終わらない」とG20首脳会議後に記者団に語っています。サルコジ大統領はエネルギッシュで新しいことに取り組む政治家として知られているため、問題の進展を期待していた各国やメディアは「ちょっとがっかり」という感じでしょうか。

サルコジ大統領は、父方はハンガリーの家系、母方はギリシャ系ユダヤ人というバックグラウンドを持つ移民2世で、異色中の異色です。セネガル出身の黒人や野党の政治家を閣僚に抜擢するなど、閉鎖的な国であるフランスでは過去にいなかった政治家です。プライベートでも元スーパー・モデルと結婚、「エア・サルコ・ワン」と揶揄されるほど高額な専用ジェットでG20首脳会議出席のためソウル入りするなど欧米では話題が絶えません。

そんなサルコジ大統領がG20をまとめるのに弱気になっているのは、国内事情があります。2012年に大統領選挙を控えているのですが、財政健全化のため退職年齢を2歳引き上げる法案を強引に通したことで国民が大反発するなど、国内問題が山積みです。再選選挙を睨み、週末には内閣改造も実施しました。

僕は90年代にブリュッセルを拠点に欧州を取材しましたが、欧州の中心はフランスではないかといつも感じていました。アメリカ寄りのイギリスと違い、欧州の文化と伝統を貫き、外交も経済政策も独自だし、いつもリーダーシップを発揮していました。サルコジ大統領は、G20議長国としての期待値をとりあえず下げ、成果が出たら評価が得られると考えたのかもしれません。

[November 16, 2010] No 010290

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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