2分でわかるアメリカ

2010/11/16FRBに逆らうマーケット


「国策に逆らうな」というのは、証券会社が集中する兜町に古くからある格言です。国の方針に従わないと企業業績が悪化したり、投資家が損を出すということです。

世界のマネーの中心であるウォール街にも同様の格言があります。Don’t fight the Fedという格言で、Fedは連邦政府を指しますが、ここでは中央銀行であるFRBまたは連銀のことで、FRBと戦う(逆らう)と利益が得られないという意味です。
 
 

8月末にFRBのバーナンキ議長が金融緩和第2弾の実施を示唆したことを受け、ウォール街では、Don’t fight the Fedがささやかれました。FRBが資金を大量に供給して金利を低めに誘導し、景気を刺激するとのメッセージを素直に受けとめ、多くの投資家が米国債を買いました。これにより利回りが低下、外国為替マーケットでは、ドル安が進みました。また、株式相場と商品相場が大幅に上昇しました。

しかし、金融政策を決めるFOMCが今月3日、実際に6000億ドル規模の金融緩和第2弾の実施を発表すると、マーケットは素直に反応しませんでした。

先週金曜日には、NY連銀が発表通り国債購入を開始しましたが、投資家はその反対、つまり国債を売りました。FRBに逆らったのです。これにより国債の利回りが上昇、ドルが買われました。また、株式相場も金や原油、コットンなどの相場も大幅に値を下げました。中国がインフレ抑制のため利上げするとの観測や欧州危機などが原因とマーケット関係者は話していますが、いずれも新しい材料ではありません

ウォール街や兜町には、「噂で買ってニュース(事実)で売る」という格言もあります。思惑や観測で買い、それが実施されたり、事実であることが公になった時点で売ることで利益を出すということなのですが、今回の現象はまさにこのパターンです。ジャーニー・キャピタルのストラテジストはウォール・ストリート・ジャーナルに対し、「金融緩和第2弾への期待があまりにも大きかった」として、その分の反動も大きいと話しています。

週明け15日のマーケットでも、債券相場が下落して取引がはじまりました。新しいパターンが定まるまでマーケットから目が離せません。

[November 15, 2010] No 010289

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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