2分でわかるアメリカ

2017/09/28米経済、悪化の前兆?

経済が緩やかに拡大しているとFRBが言っているのに、ロサンゼルスで空き店舗が増えている。以前にこのコーナーで指摘しました。最近になり、空き店舗がさらに増えました。一部では見慣れた光景が変わるほどです。


アマゾンに代表されるネットショップで価格競争が激化、実店舗がショーウィンドウ化している。金融危機後の景気回復で、テナント料、あるいは家賃が高くなりすぎた。いくつかの理由が考えられますが、別に大きな背景があるのかもしれません。最近、そう思い始めました。


きっかけは1本の電話でした。東京在住者との会話の中で、中国の企業や富裕層による不動産投資が止まったと聞きました。都心のタワーマンションで大量の売りが出ている。中国政府の規制を受けた中国の投資家が売りに転じ、東京の不動産価格が上がることはもうないと専門家が話しているとしています。ただ、中国人観光客は依然として多いとも聞きました。


ロサンゼルスではどうでしょうか。中国のファンドや富裕層が、ダウンタウンの高層ビル住居やビバリーヒルズの不動産を積極的に買いました。大量の売りが出たとか、開発プロジェクトが止まったという情報は確認できませんでした。サンフランシスコやニューヨークの状況も調べましたが、同様でした。


ただ、日本円に換算して8億円近い豪邸の購入申し込みをした中国人が突然キャンセルした。低価格の物件は在庫不足もあり堅調だが、高額物件は在庫がだぶつき始めた、と複数の知人や不動産関係者から聞きました。チャイナマネーが引き揚げはじめた兆候かもしれません。


全米不動産業者協会が27日発表した8月の中古住宅販売仮契約指数は前月比で2.6%低下しました。日本と異なり、アメリカでは中古住宅販売が全体の約90%を占めます。仮契約は契約完了する前の状態を指し、いわゆる先行指数です。過去2、3カ月の不動産関連のデータはいずれも弱いです。アメリカ経済をけん引してきた不動産が、前年割れが続く自動車販売のように低迷期に入った可能性があります。


過去10年はチャイナマネーが目立って増え、不動産価格を押し上げたと指摘されています。アメリカには、中国だけではなく、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、中東、アフリカ、日本や東南アジアなど世界中のマネーが流入します。このため、日本ほど不動産市場がチャイナマネーから受ける影響は大きくないかもしれません。ただ、仮に中国人の現金による購入が止まれば、不動産業者が慌てることは確実です。先取りするとされる株式マーケットでは、不動産関連株が下げています。


アメリカの不動産市場は、FRBの政策に影響します。連想ゲームで米ドル相場にも影響する可能性があります。


[September 27, 2017]  No 031843745


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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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