2分でわかるアメリカ

2017/09/27火種多い中東の問題

世界各国の政府首脳が出席した先週の国連総会。アメリカのメディアは、朝鮮半島情勢とほぼ同等に、イランの核開発を巡る各国の主張にも注目しました。


イランの核開発を制限し、IAEAの監視団をイランが受け入れる、その見返りとしてイランへの経済制裁を解除することで、オバマ政権時代のアメリカとヨーロッパの主要国がイランと合意していました。


しかし、トランプ大統領は先週の国連演説で、核合意の破棄を示唆しました。これに反発したイランは、23日に弾道ミサイルの実験を実施しました。イラン国営テレビが放送した発射実験が過去の映像で、フェイクではないかとの指摘もありますが、いずれにせよ中東だけではなく、欧米にも緊張が走りました。トランプ大統領は、イランが北朝鮮と協力してミサイルの発射実験を実施したとツイート、非難しました。


そのイランとアメリカ、当事国のイラク政府がそれぞれ反対したにもかかわらず、イラク北部のクルド自治政府が独立の是非を問う住民投票を25日に実施しました。約90%が賛成票を投じたとみられています。今後2年間、クルド自治政府がイラク政府と交渉することになりますが、難航は必至。地域が大きく不安定化する可能性があります。トルコのエルドアン大統領は、クルド人を痛烈に批判。トルコ軍はイラク軍と共同で、大規模な軍事演習を実施しました。


イラン、イラク、トルコのほか、アメリカとロシアなどもからむシリア内戦が最終局面にあるとされています。ただ、過激派組織ISISの壊滅には程遠いとの冷めた見方が多いようです。仮にアサド政府軍が勝利したとしても、ロシアには朗報ですが、アメリカは反アサドの姿勢をとっています。また、シリア内戦にはクルド問題が微妙に関係しています。


世界大戦後の中東の歴史は、紛争の歴史でした。原油などの利権が絡み、イスラム教の宗派の違い、民族問題などが複雑に関係しています。イランの核開発やクルド人の独立の動きなど、新たな火種が地域をさらに不安定にしています。


トルコリラ相場は軟調です。クルドの住民投票が主な背景とされています。しかし、さらに視野を広げると、中東地域全体の不安定化がトルコリラの重石になっていると考えられます。


 [September 26, 2017]  No 031843744

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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