2分でわかるアメリカ

2017/09/22北朝鮮問題、中国が動いた

アメリカのトランプ大統領が21日、安倍首相と韓国の文大統領との共同会見の中で、北朝鮮に対しアメリカ独自の新たな制裁を課すことを明らかにしました。


具体的には、北朝鮮と取引する世界中の個人、金融機関、企業を対象に制裁できる強い権限を財務省に与えるというものです。北朝鮮との石油取引を制限した国連の安保理決議の制裁が不十分なためと説明し、北朝鮮の非核化が目的だとトランプ大統領は強調しました。


アメリカ独自の新たな制裁は、事前報道もあり想定内でした。しかし、会見の中でトランプ大統領が「中国政府が国内銀行に対し北朝鮮との取引を禁じた」と述べたことが、大きなサプライズとして受け止められました。CNNをはじめ3つのニュースチャンネルが「重大な進展だ」と速報しました。これとは別に、中国人民銀行が国内銀行に対し北朝鮮との取引を停止するよう命じたとする4人の情報筋の話をロイターが北京・香港発で報じました。


トランプ政権内では、度重なる警告や国連決議を無視して行動する北朝鮮と取引を続ける中国への不満が高まっていました。習近平国家主席は国連総会を欠席しましたが、トランプ大統領は18日に習近平主席に電話し、北朝鮮に対し最大限の圧力をかけていくことで協力を求めました。


トランプ大統領が軍事行動しか選択肢がなくなると言ったのか、もしくは北朝鮮と取引する中国企業に独自制裁を課すなどと警告したのか。電話会談の詳細は明らかにされていません。しかし、この電話会談をきっかけに中国が重い腰をあげた可能性が高そうです。


北朝鮮の貿易と金融取引の約90%に中国の金融機関や企業が絡んでいるとアメリカ政府は考えています。中国が動いたことで、北朝鮮包囲網が大幅に強化されました。


金正恩委員長を「ロケットマン」と揶揄し、北朝鮮を「完全に破壊する」と威嚇したトランプ大統領の国連演説について、北朝鮮の李外相は「犬が吠えているようだ」と批判しました。あくまでも強気です。ただ、親しい関係にある中国の措置は想定していなかった可能性があります。金正恩委員長が今後どう動くか。世界の注目が集まります。


[September 21, 2017]  No 031843741

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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