2分でわかるアメリカ

2017/09/06夢砕かれたドリーマー

ここ数日、アメリカのメディアでDACAという言葉を何度も耳にしました。Deferred Action for Childhood Arrivalsの略で、幼少期に親に連れられてアメリカに違法入国した移民の滞在を条件付きで認めるオバマ前大統領の政策です。


2012年6月時点で31歳未満、16歳になる前にアメリカに到着、重罪を犯していない、などの条件を満たせば、2年ごとに滞在許可が更新できるという内容。労働許可も得られます。強制送還を猶予されるということです。対象者は約80万人で、「ドリーマー」と呼ばれています。


トランプ大統領は、DACA廃止を公約に掲げました。公約通り、5日までに撤廃方針を固めました。不法移民に強硬なセッションズ司法長官が正式に発表しました。ただ、6カ月以内に議会が代替法案を策定することを認めることも明らかにしました。


DACA撤廃をめぐっては、多くの企業が反対、ニューヨーク州などがトランプ政権を提訴する方針を示していました。反対に、テキサス州などは5日までに撤廃を決めない場合、政権を提訴するとしていました。ジレンマを抱える中、トランプ大統領が公約通り撤廃に「ゴーサイン」を出した形です。


反響は大きく、アメリカの主要メディアが、トップ級で詳しく伝えました。全米各地でトランプ政権に反対する集会が開かれました。


不法移民への対応は、再開した連邦政府の議会で重要議題の一つに浮上しました。9月は、上院も下院も12日間しか開かれませんが、他にも重要議題が山積みになっています。78億5000万米ドル(約8556億円)のハリケーン「ハービー」被害の救済資金、10月1日以降の政府予算、政府債務の上限引き上げ問題など。いずれも失敗が許されない議題です。


ただ、トランプ政権と議会の関係は良好とはいえず、緊迫した1カ月となりそうです。トランプ大統領は、ミルウォーキー・ジャーナル・センチネルへの寄稿文で、「税制改革」の必要性を議会に訴えました。しかし、DACA問題の優先度が高く、税制改革が2018年に持ち越されるとの見方が強くなっています。


代替法案が6カ月以内に成立しない場合、大量の強制送還者が出る恐れがあります。「ドリーマー」の未来が議会にかかっています。


 
[September 05, 2017]  No 031843729


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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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