2分でわかるアメリカ

2017/08/15「大統領は非アメリカ人」?

ベルギーのブリュッセルに駐在していた際、マイノリティであることを強く意識しました。周りは白人ばかり。自分が異質だと感じました。

数年後にニューヨークに赴任してすぐ、路上で道を聞かれることが多いことに戸惑いました。「人種のるつぼ」を象徴する大都市には、白人、黒人、ヒスパニック、アジア系が混在、日本人でさえローカルとみられる。その後転勤したロサンゼルスはさらにリベラル。全く違和感を覚えませんでした。

最近、ニューヨークやロサンズルスが非常に特殊だということをあらためて強く感じることがあります。例えば去年の大統領選挙。ロサンゼルスやニューヨークではクリントン氏支持が圧倒的多数でした。しかし、グローバル化で失業した東部、中西部などの白人労働者がトランプ氏を支持、勝利に導きました。メキシコ人やイスラム教徒、女性を軽蔑する差別発言が白人労働者に好感されました。

バージニア州のシャーロットビルは白人の人口が多い地方都市です。1800年代から白人至上主義が優勢。人種差別をめぐる争いが過去に何度も起きました。白人至上主義を掲げる秘密結社KKKの構成員が多く、南北戦争の英雄リー将軍の銅像を撤去する計画に反対する集会を週末12日に開きました。ネオナチなども加わり、反対派と激しく衝突しました。複数の死傷者が出ました。

主要メディアが大騒ぎ。ニュージャージー州で夏休み中のトランプ大統領はすぐに非難する声明を出しました。しかし、白人至上主義やKKK、もしくはネオナチを名指しで非難することは避けました。これが大きな反発を招き、ニューヨークやロサンゼルス、ホワイトハウス前などで抗議デモが起きました。さすがに「まずい」と思ったトランプ大統領は14日午後、KKKなどを名指しして批判しました。ただ、不信感がこれで消えたとは思えません。

大手製薬会社メルクのフレージャーCEOは14日、トランプ大統領が白人至上主義を擁護したとして、ホワイトハウスの諮問委員会のメンバーを辞任しました。フレージャーCEOは黒人。これに対しトランプ大統領は「薬品会社はボッタクリだ」と反撃しました。子供みたい。

ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン氏は、ニューヨーク・タイムズのコラムで、「血統や出身地ではなく価値観を共有するのがアメリカだ。トランプ大統領は非アメリカ人だ」と批判しました。

トランプ大統領の登場で、アメリカの分断が深刻になっています。


 [August 14, 2017]  No 031843714

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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