2分でわかるアメリカ

2017/08/01ロシア報復、予想ほど打撃少ない?

ロシアには4つのアメリカ政府の施設があります。モスクワのアメリカ大使館、そしてサンクトペテルブルク、エカテリンブルク、そしてウラジオストクにあるアメリカ領事館です。合わせて約1200人の外交官、職員がいます。

ロシアのプーチン大統領は7月30日、国営のチャンネル1のインタビューで、ロシアにいるアメリカの外交スタッフを755人減らすよう求めました。これに先立ちロシア外務省は28日、現地職員を含むアメリカの外交スタッフを9月1日までに455人に減らすよう要請しました。アメリカに滞在するロシアの外交スタッフと同じ数にするということです。

アメリカの上下両院は先週、ロシアに対する制裁を強化する法案を圧倒的多数で可決しました。アメリカの外交スタッフの削減要求は、これに対抗するもの。いわゆる報復措置です。

冷戦下の1986年以来の過激な報復だ、1917年のロシア革命後以来の強硬姿勢だ、などと報じられました。しかし、時間が経つにつれ、アメリカの外交活動への打撃はほとんどないとの見方が広がりました。

なぜか。ロシアにいるアメリカ人外交官は300人程度しかいないからです。ワシントン・ポストによりますと、2013年時点で在ロ大使館と領事館の外交スタッフは1279人。そのうち、アメリカ政府が直接雇用したアメリカ人外交官は301人しかいません。残りは、国防省や農務省など35のアメリカ政府機関が雇った現地スタッフです。現地スタッフのほとんどはロシア人とみられます。

つまり、アメリカ政府が、ビザ(査証)発給や通訳に関わっているロシア人スタッフを解雇すればロシア政府の要求を満たすことができるというわけです。ビザ発給に時間がかかるなどの影響が予想されますが、アメリカにとっては痛みが少ないものになります。

ただ、ロシア疑惑もあり、トランプ政権の対ロ問題は複雑です。ティラーソン国務長官が事実上更迭されるとの噂もあります。さらに、トランプ大統領が10日前に就任したばかりのスカラムッチ広報部長を解任したとホワイトハウスが発表しました。トランプ政権の混迷は続きそうです。


 [July 31, 2017]  No 031843704

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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