2分でわかるアメリカ

2017/07/07ゴールドマン、異例の警告

ゴールドマン・サックスが5日、「opioid crisis(オピオイド危機)」がアメリカ経済の打撃になると顧客向けレポートで主張しました。ウォール街の投資銀行がこの手のレポートを書くのは極めて異例だとCNBCが伝えました。

オピオイドは鎮痛剤の一種。がんの痛みなど慢性痛に使用されますが、依存症が指摘されています。日本の世界史の教科書にもあるアヘン戦争はイギリスと清の間の1840年の大規模な争いですが、「アヘン」の関連合成鎮痛剤がオピオイドです。

アメリカではオピオイドの乱用が社会問題になっています。去年4月に急死した人気歌手プリンスの死因は、オピオイド系鎮痛剤の過剰摂取と断定されています。

ゴールドマンのシニア・エコノミストのデヴィッド・メリクル氏は、「毎日90人以上のアメリカ人が死亡している」と指摘。働き盛りの男性に特に多く、労働参加率が上昇することが疑わしいとコメントしました。

労働人口のうち働く意志のある人の割合を示す労働参加率は、金融危機以降に下がり続け、過去4年は63%近辺での横ばいが続いています。アメリカ労働省が毎月発表する雇用統計では、非農業部門の雇用者増と失業率の低下傾向が鮮明になっていますが、労働参加率は低いままです。

「労働参加率が上がらないことがエコノミストの間のパズルになっているが、その答えの1つがオピオイド依存症だ」とメリクル氏がコメントしました。FRBの役割である「完全雇用の達成」を不可能にしているとしています。また、住宅バブル崩壊を受けた金融危機の後の景気後退がオピオイド危機を悪化させたとコメントしました。

CNBCが指摘するようにウォール街の投資銀行としては異例中の異例のレポート。それほど問題が深刻だということを言いたかったのだと思います。


[July 06, 2017]  No 031843687

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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