2分でわかるアメリカ

2017/06/23それはホテルの一室で起こった

配車サービス最大手のウーバー。家族を含め個人的にも頻繁に利用しています。ライフスタイルを変えたウーバーの創業者トラビス・カラニックCEOが20日、辞任しました。
いったい何があったのか。ニューヨーク・タイムズなどメディアの情報を総合すると、それはホテルの1室で起きました。

カラニック氏はこの日、シカゴに出張中でした。スキャンダルが相次ぎCOO やCFOら執行役が相次いで退社したことを受け、幹部の後任候補と面談するため。

滞在していたシカゴ中心部のホテルの部屋に予期せぬ訪問者がありました。シリコンバレーの投資会社ベンチマークの幹部2人です。ウーバーの大株主。2人は、カラニック氏の即日辞任を含む50項目の要望書を手渡しました。要望書は、ベンチマークに加えフィデリティなどウーバーの大株主5社の連名でした。

動揺したカラニック氏は、すぐに取締役の1人であるハフィントンポストの創業者アリアナ・ハフィントン氏に電話しました。ハフィントン氏は、要望書を真摯に受けとめるべきだと進言しました。その後、カラニック氏はホテルの部屋に鍵をかけ、ベンチマークの2人とウーバーの将来について激しい議論を交わしました。

結果、カラニック氏は即日辞任を受け入れ、日が変わる直前に辞表を書きました。ウーバーのドライバーとの激しい口論から始まった7カ月にわたるドラマが大きな節目を迎えた瞬間でした。

株主の圧力でCEOが辞任に追い込まれることは、公開企業ではたまにあります。しかし、未公開企業では極めて異例。要望書に名を連ねた 5社の保有株式数の合計は約25%に相当します。第三者の資金を受け入れた場合、公開企業なみに株主の発言が大きく影響することを示したことになります。

創業から8年。ウーバーの評価額は680億米ドル(約7兆5500億円)に達しています。従業員数は1万4000人。世界70カ国、450都市で事業を展開。世界最大のスタートアップ企業です。

ビジネスモデルに問題がある、腐敗した会社を立て直すのは困難。などとする批判があります。ただ、CNBCは、ウーバーのCEOは、シリコンバレーでいま最も魅力的な職だと伝えました。「ドリームチーム」ができるとの見方もあります。

 [June 22, 2017]  No 031843678

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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