2分でわかるアメリカ

2017/06/20ゴールドウォーターとトランプ

アメリカのドナルド・トランプ大統領のツイッター好きは誰もが知るところ。補佐官らの反対にもかかわらず、自らの感情をツイッターの投稿でむき出しにしています。自己制御ができない精神異常ではないか、との指摘が少なくありません。

35人の精神科医が2月半ば、「重大な精神不安定で、トランプ大統領が職務を安全にこなすことは不可能だ」とニューヨーク・タイムズに連名で寄稿。先週16日には、シカゴの精神科医が、「トランプ大統領は軍の精神鑑定を受けるべきだ」とするコラムをロサンゼルス・タイムズに寄稿しました。

アメリカの精神科医が、公の場で、自らが診断していない公的人物に関する意見を述べることは倫理に反すると規定されています。精神科医業界の倫理規定第7条3節。一般には「ゴールドウォーター・ルール」と呼ばれるものです。

1964年のアメリカ大統領選は、暗殺されたケネディ大統領を引き継いだ現職の民主党大統領ジョンソン氏と、共和党候補のゴールドウォーター上院議員が争いました。ゴールドウォーター候補は、ソビエトとの核戦争をちらつかせるなど過激な発言を繰り返しました。

大統領選の最中、いまは廃刊になったファクト誌が「ゴールドウォーター氏はメンタル問題で大統領にふさわしくない」とする精神科医のアンケート調査の結果を掲載しました。これが大きく影響、選挙は記録的な大差でジョンソン氏が勝利しました。ゴールドウォーター氏は名誉毀損で訴え、裁判所はファクト誌に賠償金を支払うよう命じました。これがきっかけとなり、「ゴールドウォーター・ルール」ができました。

35人の精神科医とシカゴの精神科医が主要紙に寄稿したことはゴールドウォーター・ルールに反します。それでもあえて発言したのは、トランプ大統領の発言と行動が危険だと感じたからだとみられます。精神科医のルール違反の主張により、トランプ大統領の精神状態に関心が集まる結果になりました。与党の共和党内でも、大統領のメンタル問題を懸念する声が増えていると伝えられました。


[June 19, 2017]  No 031843675

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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