2分でわかるアメリカ

2017/06/03「お金持ちの掟143 」0.01%はここに隠す

タックスヘイブン(租税回避地)に口座を持つ富裕層に関する法律事務所の資料が去年5月に漏えいしました。いわゆる「パナマ文書」です。アイスランドのグンロイグソン首相(当時)をはじめ世界の政財界の大物の名前を含む衝撃的な内容でした。実態を暴いた「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)」はピューリッツァー賞を受賞しました。ただ、税逃れの実態の本格的な解明にはつながりませんでした。

その9年前。イギリス大手銀HSBCの富裕層部門の3万人を超す顧客データが1人のエンジニアによりリークされました。欧米の当局者やジャーナリストに送られました。部門の拠点にちなみ「スイスリークス」と呼ばれました。

スイスリークスとパナマ文書の情報を詳しく分析した研究論文が5月28日に発表されました。「Tax Evasion and Inequality(税逃れと不平等)」と題された25ページの論文。http://bit.ly/2qH6j1Pノルウェーとデンマーク、そしてアメリカのカリフォルニア大学バークレイ校の3人の研究者が共同執筆したものです。

富裕層は個人事業主が多く、低所得者のほとんどは給与が主な収入源。富裕層の資産の40%が、シンガポール、香港、ルクセンブルク、ケイマン諸島、バハマ、スイスなど税率がゼロもしくは低水準の国や地域に保管されていると指摘しています。

その上で、「個人資産が4000万米ドル(約44億円)を超えるトップ0.01%の富裕層が個人所得や資産の約30%を隠している」と結論づけています。平均的な税逃れは所得の2%で、それを大幅に上回るとしています。そして、資産を海外に持ち出すことが困難だった1970年と比べ、富の集中が大幅に進んだと主張。税当局が把握しているデータは、過少申告された情報をもとに集計された可能性があると指摘しました。

論文の反響は大きく、アメリカのワシントンポストやシカゴトリビューン、イギリスのガーディアンなど欧米の主要メディアが大きく取り上げました。各国の税当局も読んでいると想像します。



 [June 02, 2017]  No 031843664






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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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