2分でわかるアメリカ

2017/06/02金融株が下げに転じた、悪いサインか

ウォール街では、ニューヨーク株式市場に上場している株式を11のセクター(業種)に分類するのが一般的です。去年11月のアメリカの大統領選以降の「トランプラリー」を牽引したのは金融セクターでした。銀行、証券、保険、カード会社などが含まれます。

金融株は年初から3月初めまで約9%上昇しました。しかし、3月半ば以降に軟化。5月末までに年初からの上昇分を消し、下げに転じました。通信株、エネルギー株に次ぐワースト3。特に5月のパフォーマンスは、原油安が打撃となったエネルギー株に次いでワースト2でした。

3月まで金融株が買われた背景には、トランプ政権の規制緩和への期待があります。減税など経済政策への期待もありますが、オバマ政権時代に強化された金融規制が緩和されると、銀行の経営が柔軟になり、コストも削減できると大きく期待されていました。しかし、「ロシア疑惑」をめぐりトランプ政権に不利な情報、報道が相次ぎ、期待が萎みました。

「金融株が上昇分を消したことは、悪い兆しかもしれない」とCNBCが伝えました。出演した大手金融のアナリストは、金融株の下げは「経済が健全ではない」とするメッセージだとコメントしました。別のアナリストは、「経済成長に対する自信がなくなりつつある兆しだ」と述べました。

過去2週間に発表された経済指標は強弱が入り混じる内容でした。ADP全米雇用報告は労働市場の強さを示しました。一方で、新規失業保険申請件数は予想以上に増えました。つまり、悪化しました。各メーカーの5月の新車販売台数はまずまずでしたが、これは大幅な値引きがあったからと指摘されています。

1日のニューヨーク株式相場は上昇しました。金融株も堅調。強い相場が続くかはトランプ政権の行方が鍵となると指摘されています。トランプ政権への期待のバロメーターとも言える金融株の動きに注目です。


[June 01, 2017]  No 031843663

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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