2分でわかるアメリカ

2017/05/27なぜあの箱はピンク色なのか

前に勤務していたロサンゼルス拠点のソニーグループの部署は、筆者を除き全員アメリカ人でした。同僚の一人が毎週金曜日、ピンク色の箱を3つ持参、休憩スペースに置いて行きました。差し入れで、中身はドーナツ。オールドファッションやチョコレートなどが36個入っていました。金曜日は会社に行くのが楽しみでした。

ロサンゼルスタイムズに興味深い記事がありました。「ドーナツの箱はなぜピンク色なのか。その答えは南カリフォルニアにある」と題された記事です。

ニューヨークでは、青と白のギリシャ柄のコーヒーを入れる紙コップが有名です。スターバックスが増えましたが、まだまだギリシャ柄が主流です。ドーナツの箱は白が定番。アメリカ北東部に店舗が多いダンキンドーナツの箱も目にします。南部では、白地に赤いロゴに緑色で「ドーナツ」と書かれた箱のクリスピークリームが主流です。

ロサンゼルスにも大手ドーナツチェーンが進出していますが、店舗数が非常に少ない。700店舗近くあるドーナツ店のほとんどは個人営業です。しかも、オーナーは100%に近い確率でカンボジア人。1ダースが入る箱はいずれもピンク色です。

1975年にカンボジアが社会主義体制に移行した際、迫害されたカンボジア難民が大量に西海岸に渡りました。難民の一人が生活費を稼ぐためドーナツ店を開きました。たまたま安価だったピンク色の箱を使ったそうです。ビジネスは大成功。カンボジア難民の多くが続きました。ピンク色の箱は、アリゾナ、テキサス、オレゴンにも広がっています。

ピンク色はいまや難民の成功のシンボルになりました。ロサンゼルス人はピンクの箱を見るとヨダレが出ます。「パブロフの犬」のように。


 
米国時間29日月曜日は「メモリアルデー」で連邦祝日。お休みし、30日火曜日(日本時間31日)に再開します。

 [May 26, 2017]  No 031843661






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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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