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2017/05/19「ロシア疑惑1」特別検察官のお仕事

アメリカ司法省のローゼンスタイン副長官が18日午後、去年の大統領選でトランプ陣営がロシア政府と連携して介入した疑惑を解明するため、Robert Mueller(ロバート・モラー)氏を特別検察官に任命しました。2013年まで13年間にわたりFBI長官を務めた法律家で、忍耐強く徹底捜査する人物として知られています。共和党と民主党の大統領に仕えたこともあり、両党の議員から歓迎する意向が示されました。

セッションズ司法長官ではなく、副長官が動いたのは、司法長官自身がロシア疑惑の渦中の人物の一人であり、ロシア疑惑の捜査を拒否したことが背景です。ローゼンスタイン副長官に対する期待と圧力が高まっていました。

特別検察官とは、政府首脳や高官が関わった事件を、司法省やFBIなどから独立した形で捜査することを任務とします。民間から選ばれる弁護士です。1970年代の「ウォーターゲート事件」、そして1990年代にクリントン大統領が研修生と不適切な関係をもった問題で虚偽の発言をした疑惑をめぐり任命されたことがあります。

今回は、選挙でのロシア介入疑惑のほか、トランプ大統領がロシアに機密情報を話した問題、トランプ大統領が捜査妨害した疑惑も捜査対象になります。共和党幹部のマッカーシー下院議員が去年、「ロシアのプーチン大統領がトランプ氏にお金を渡した」とライアン下院議長に語っていたとワシントン・ポストが報じていて、この問題も調べられるとみられます。

ウォーターゲート事件では、ニクソン大統領が辞任するまで14カ月かかりました。今回は早期に疑惑解明をすることが求められていますし、そうなる可能性が高そうです。下院と上院の調査も同時に進められることになりますが、今後は特別監察官の捜査が中心になります。

ちなみに、日本の共同、時事、日経は特別検察官の名前を「モラー氏」、朝日は「マラー氏」、そして読売は「ムラー氏」と表記しました。ほかに「ミュラー氏」というのもありました。共同通信の表記に収斂されていく可能性が高いと思います。また、日本では「ウォーターゲート」にからめて「ロシア・ゲート」とNHKなどが呼んでいますが、アメリカの主要メディアではあまり聞かない呼称です。

ロシア疑惑は歴史的な事件に発展する可能性があり、マーケットへの影響も大きいことから、今後シリーズ化したいと考えています。


 [May 18, 2017]  No 031843655

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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