2分でわかるアメリカ

2017/04/26蜜月のはずが、狙われたカナダ

アメリカのトランプ大統領は、北米自由貿易協定(NAFTA)を見直すと公約し、選挙に勝利しました。NAFTAは、アメリカ、カナダ、メキシコの3国が貿易圏をつくる自由貿易協定で、1994年に発効しました。ただ、トランプ大統領の狙いは人件費が安いメキシコだと誰もが思いました。「壁」の問題もありますし。

米加首脳が2月13日にホワイトハウスで会談しました。トランプ大統領は、会談後の共同記者会見の中で、対カナダの貿易赤字はメキシコほど深刻ではないとの認識を示しました。一方、カナダのトルドー首相は、2国間の健全な貿易関係を維持することで一致したと述べました。トルドー首相は首脳会談後に、大統領の娘イヴァンカさんをブロードウェイのミュージカルに招待、蜜月関係を演出しました。

ウォール・ストリート・ジャーナルは、トランプ政権が「カナダから輸入する針葉樹の材木に平均20%の関税をかける計画だ」と報じました。ロス商務長官が25日、正式に発表しました。針葉樹の材木は主に一戸建て住宅に使われるもの。ロイターによりますと、アメリカ市場の約31.5%。金額にして50億米ドル(約5500億円)に相当します。

関税が正式に適用されるためには、商務省の最終決定とアメリカ国際貿易委員会(ITC)の承認が必要です。ただ、影響がすでに出ていて、カナダの材木メーカーの株価が急落しました。カナダのトルドー首相がアメリカを非難、訴訟を辞さない構えです。ロス商務長官は、「カナダは良い隣人だが、NAFTAが機能していない」と述べました。NAFTAの見直し交渉は夏に始まる予定ですが、早まる可能性があります。

背景には、アメリカの材木メーカーのロビー活動があります。トランプ大統領は、ウィスコンシン州の酪農家の意向を受け、カナダの乳製品の輸入にも関税をかける可能性を示唆しています。

トランプ大統領は、日本、中国、イギリスなどとも友好な姿勢を示しています。しかし、カナダへの対応は、「アメリカ第一主義」のもと、トランプ大統領がいつでも姿勢を転換する可能性を示しています。日本政府が状況を注視していると想像します。
 

 [April 25, 2017]  No 031843638

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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