2分でわかるアメリカ

2017/04/01「お金持ちの掟139」ビリオネアの戦争

EVLP(Every Day Low Price・エブリーデーロープライス)。特売期間を設けず、年間を通じて低価格で販売する戦略で、ウォルマートは世界最大の小売店に成長しました。1992年に他界した創業者のサム・ワルトン氏の3人の子供はいずれもビリオネア。

フォーブスの世界富豪リスト2017年版によりますと、15位のロブソン・ワルトン氏は創業者の長男、16位のジム・ワルトン氏は一番下の息子、そして17位のアリス・ワルトンは長女です。遺産を相続した3人の個人資産の合計は1019億米ドル(約11兆3600億円)。これは、モロッコやウクライナのGDPに匹敵する規模です。

ウォルマートのEVLPは、販売する商品の80%を最低価格で提供するというものです。しかし、それが怪しくなってきました。ネットショップの巨人の存在が大きい。アマゾンは、アルゴリズムで瞬時に調べた最低価格と同じ、もしくはそれより低い価格で多くの商品を販売しています。アマゾンの売上高は2015年に1000億米ドルに達し、創業者のジェフ・ベゾフ氏の個人資産が728億米ドル(約8兆5100億円)に増えました。ビル・ゲーツ氏、ウォーレン・バフェット氏に続く世界富豪リストの第3位です。

ウォルマートとアマゾンが戦争をしている」とCNBCが伝えました。かつてないほどの価格戦争を展開しているとしています。

ウォルマートは、アーカンサス州の本社にP&Gやペプシなどの大手企業の担当者を招き、さらなる価格引き下げを迫りました。また、創業間もないジェット・ドットコムを30億米ドルで買収、ネット販売を強化しました。一方のアマゾンは、生鮮食品の販売を強化、実店舗のアマゾン・ゴーの展開も始めました。

本物の戦争は嫌だけど、価格戦争は大歓迎。ビリオネアを創出したウォルマートとアマゾンの価格戦争は消費者にとっては朗報です。ただ、マージンが減るメーカーは戦争の犠牲者かもしれません。

 
[March 31, 2017]  No 031843622

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2018.12.15 更新トランプ大統領、任期全うできるか12月9日からの1週間は、トランプ大統領にとって就任以来で最悪の週だった。ワシントンポストのコラムニストが伝えました。確かに、トランプ大統領に打撃となるニュース…
  • 2018.12.14 更新アメリカのガラパゴス日本に帰国する際は非接触型ICカードを使っています。JR東日本のSuicaや首都圏の地下鉄やバスで利用できるPASMO。コンビニや自販機でも使えて便利だと思いま…
  • 2018.12.13 更新FRBの利上げけん制、最後のプッシュアメリカのトランプ大統領が11日、ロイターのインタビューを受けました。ウォール街で話題に。金融情報に強い通信社による単独インタビューのため、慎重に準備したことが…
  • 2018.12.12 更新ホワイトハウスの重要ポスト先週末まで、「ホームランド」をアマゾンプライム・ビデオで毎日観ました。2011年から放送されているCIAエージェントのテロリストとの戦いを描いたテレビドラマで8…
  • 2018.12.11 更新中国がiPhone差し止め、微妙なタイミング中国の福建省福州の裁判所が、特許侵害をめぐるクアルコムとの訴訟に関し、アップルのiPhoneの輸入と販売を差し止める仮処分を下したことが明らかになりました。クア…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ