2分でわかるアメリカ

2017/03/22第2のウォーターゲート事件になるか

1972年6月、首都ワシントンにある民主党本部に何者かが侵入。盗聴器を仕掛けようとしていました。警備員が見つけ、警察が逮捕しました。再選を目指していたニクソン大統領とホワイトハウスは事件との関与を一貫して否定。しかし、ワシントン・ポストが、政権が事件に深く関与していることをスクープ。それがきっかけになり、ニクソン大統領がアメリカの歴代大統領で初めて任期中に辞任に追い込まれました。民主党本部が入居していたビルの名前をとって「ウォーターゲート事件」と呼ばれました。

ウォーターゲート事件の一連の騒動の中で、ニクソン大統領が特別検察官を解任するなど司法を妨害しました。この事件は「土曜日の夜の虐殺」と呼ばれています。ホワイトハウスはウォーターゲート事件のもみ消しに動きました。ニクソン大統領は国民の関心をそらすため、ソビエト(当時)が中東に侵攻したことを大問題に仕立てました。一方、議会に特別委員会が設置され、事件の真相究明に動きました。連邦地裁も動きました。

映画にもなったウォーターゲート事件のキーワードは、盗聴、裁判、司法妨害、報道、問題のすり替え、そして議会の特別委員会です。これって、ドナルド・トランプ第45代大統領を取り巻くいまの環境と似ていませんか。

 コミーFBI長官と国家安全保障局(NSA)のロジャーズ局長は、「オバマ前大統領がトランプタワーを盗聴していた」とのトランプ大統領の主張を全面否定しました。大統領の主張は「ロシア問題」から関心をそらす「かく乱戦略」ともとらえられます。さらに、コミー長官は、トランプ陣営とロシア政府の特殊な関係をFBIが捜査していることも明らかにしました。議会では、野党の民主党がロシア問題を徹底的に追及する構えです。FBI長官らの議会証言は、全米の主要メディアがトップニュースで詳しく報じました。

ロシア問題とは関係ありませんが、イスラム圏の入国を一時停止した大統領令に関し、トランプ大統領は反対した司法長官代行を解任しました。これも含め、トランプ大統領とホワイトハウスのこれまでの行動は、ニクソン大統領と類似点が多くあります。ワシトン・ポストやイギリスのガーディアンが指摘しました。

FBIのコミー長官は、ロシア政府がクリントン候補の勝利を望んでいなかったと議会で証言しました。FBIの捜査は去年7月から開始していて、ロシア政府が選挙戦に介入した相当量の証拠があるとみられます。しかし、トランプ陣営がロシア政府と結託した証拠があるかどうかは不明です。ウォーターゲート事件のように発展するかどうか。これまでのところ疑惑は広がるばかり。トランプ大統領の最大の試練を全米が注目しています。


[March 21, 2017]  No 031843615

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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