2分でわかるアメリカ

2017/03/18トランプ大統領、墓穴掘った?

誰が何と言おうと譲らない。深く入れば入るほど不利になる。アメリカのドナルド・トランプ大統領が「墓穴(ぼけつ)を掘っている」ように見えます。

ハワイ州の裁判所が6カ国の入国を制限する大統領令を差し止め、国防費を大幅に増額する一方で環境や外交予算を大幅に削減した予算案、そして米独首脳会談など。今週もホワイハウスに絡む大きなニュースが満載でした。ただ、ケーブルテレビのニュース専門チャンネルが最も注目したのは古いニュースでした。

2週間前の土曜日の朝。トランプ大統領は、「ひどすぎる。大統領選挙の直前にオバマがトランプタワーを盗聴していたことがいま見つかった」とツィッターに投稿しました。「寝耳に水」の投稿は全米に衝撃を与え、世界の主要メディアが大きく報じました。

オバマ前大統領はすぐに投稿の内容を否定しました。FBI長官も否定。事実関係を調べていた議会では、下院議長と上院の諜報活動特別委員会の委員長が「投稿を裏付ける証拠がない。盗聴はなかった」と結論づけました。議長と委員長は与党共和党の議員です。

それでもトランプ大統領は譲りませんでした。「盗聴は間違いなくあった」と。大統領を代弁する立場にあるスパイサー報道官は、オバマ前大統領がイギリスのスパイ組織であるGCHQを使って盗聴したと記者会見で述べました。GCHQはすぐに否定しました。

フォックスニュースが、「何を根拠に盗聴があったと言っているのか」とトランプ大統領に直接聞いたところ、「1月20日付のニューヨークタイムズの記事だ」と答えました。そんな報道はありませんでした。トランプ大統領が「フェイクニュース」を報じる「国民の敵」だと批判した新聞の記事が根拠という発言に、アメリカ国民は唖然としました。

ニューヨークタイムズは、トランプ氏が「オバマはアメリカ生まれではなく、大統領になる資格がない」と発言、最後に間違いを認めた過去と似ていると解説しました。

盗聴をめぐるトランプ大統領の一連の行動と発言は、「ロシアとの特殊な関係」への追及から国民の関心を移そうとする戦略のようにも思えます。いずれにせよ、トランプ大統領が自滅の道を歩んでいるように感じているのは筆者だけではありません。

 
 [March 17, 2017]  No 031843613

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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