2分でわかるアメリカ

2017/03/17ビジネスマン大統領の事業計画

アメリカのドナルド・トランプ大統領は、不動産ビジネスに人生のほとんどを費やしました。ビジネスを進めるうえで最も重要とされるものの一つが、事業計画および予算です。目標を掲げ、それを数字に落とし込む作業。トランプ大統領が初めて作成した予算案は、まるで「アメリカ株式会社」の事業計画のようでした。歴代の「政治家大統領」の予算案とは別ものです。

「アメリカ第一主義」を掲げ当選したトランプ大統領が公約したのは、主に「治安強化」「国境管理の強化」「製造業の復活」。「地球温暖化対策の見直し」「政府機関の再編」も公約しました。

16日に明らかになったトランプ政権の2018会計年度(今年10月〜来年9月)の予算案は、事業計画の柱ともいえる選挙公約を色濃く反映したものでした。

国防予算は10%増、国家安全保障費を7%増、そして退役軍人にあてる予算は6%増額されました。メキシコとの国境沿いに壁を建設する費用も予算に組み込まれました。

その一方で、環境保護局(EPA)の予算は31%削減されました。この予算では3200人が職を失う可能性があります。また、外交を担う国務省および途上国援助の予算は29%カットされました。農務省の予算も21%減。さらに、国立衛生研究所、公共放送機構、全米芸術基金の予算も削減の対象になりました。一部は機関そのものが閉鎖される可能性があります。

財政赤字を増やさないことも公約していますので、国防費の増額分を環境や外交予算などの削減で相殺した形の予算案になっています。企業でいうなら業態転換ともいえる案といえます。

議会の反発は必至です。野党の民主党は当然ですが、与党の共和党も予算案を支持しない方針を示しています。予算をめぐる攻防は、トランプ大統領1年目の最大の試練になる可能性があります。どこで妥協するかは、トランプ氏のビジネスマンとしてではなく、政治家としての判断になりそうです。


[March 16, 2017]  No 031843612

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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