2分でわかるアメリカ

2017/03/10法人税減税の穴埋めに「バフェット税」?

医療保険制度改革法(いわゆるオバマケア)の代替案は「トランプケア」と呼ばれます。下院共和党が概略を公表しましたが、野党の民主党だけではなく共和党内からも批判が出ています。このままでは議会を通らない。抜本的な見直しが迫られていて、「トランプケア」の実現には長い時間がかかりそうです。

下院共和党は同時に、トランプ大統領が公約している法人税の大幅な引き下げを含めた税制改革案の作業を進めています。こちらはさらに複雑で、難航することが予想されます。

トランプ大統領は、現在35%の法人税率を15%まで引き下げると主張しています。何もしなければ、数兆米ドルの税収の穴が開くことになります。ライアン下院議長は、20%程度の「国境税」と組み合わせる形で財政悪化を阻止したいと考えています。

しかし、「国境税」に関しては、外国からモノを輸入しているアメリカ企業が反対するのは明らかで調整が大変。なにより、法人税と国境税の連動については、トランプ大統領も乗り気ではないようです。

別の案はどうか。ウォール・ストリート・ジャーナルの経済担当のコメンテーターであるグレッグ・イップ氏は、法人税減税の穴埋めとして株主への増税を組み合わせる案があると伝えました。具体的には、配当税率やキャピタルゲイン税率を引き上げるという案です。企業は税制の低い国へ本社機能などを移せるが、ウォーレン・バフェット氏らが増税対象になってもアメリカを離れることはなさそうだとしています。いわゆる「ウォーレン・バフェット税」。

イップ氏はアイルランドの例があると指摘しました。法人税は富裕層の最低税率と同じ水準を適用、配当税率については富裕層に対する2番目に高い税率にしていると解説しました。イギリスも類似した税制を導入しているとしています。

税制改革の議論は始まったばかり。まだまだ代替案が出そうです。大幅な減税はどこかで帳尻を合わす必要があります。


 [March 09, 2017]  No 031843608

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2019.04.19 更新外為は通常で株は休場、わかりづらい祝日祝日は祝日。日本人なら誰でもそう思います。アメリカは違う。連邦政府が祝日に指定しているのに、地域によって休みにならないことがあります。逆に、連邦祝日ではないのに…
  • 2019.04.18 更新アメリカが報じない日米交渉日米両政府が15日と16日の2日間に渡ったワシントンでの閣僚級の貿易協議を終えました。農産物と自動車を含む物品貿易の議論を先行、データ貿易も交渉に含めることで一…
  • 2019.04.17 更新勝てるかも、米大統領候補の新星2016年11月の大統領選でトランプ大統領が大方の予想に反して勝利したのは、アメリカ人が「変化」を求めていたからではないか。個人的にそう思います。当時、民主党の…
  • 2019.04.16 更新中央銀行の独立性が危ない「トルコの中央銀行は完全に独立する必要がある」ギリシャ、ポルトガル、アイスランド、そしてウクライナへの金融支援で中心的な役割を担った国際通貨基金(IMF)のヨー…
  • 2019.04.13 更新日本人も、米国査証が取れない「本場、日本の味をNYで」。ニューヨークに駐在したことがある人らなら誰でも知る寿司レストラン「寿司田(すしでん)」のホームページにこう書かれていました。マンハッ…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ