2分でわかるアメリカ

2017/03/08大統領の認識は間違ってないか

アメリカのトランプ大統領は、ニューヨーク・タイムズやCNNといったメディアが、フェイクニュース(偽情報)ばかりを報道していると批判しています。「アメリカ国民の敵だ」とまで言っています。

ボロクソに言われたメディアも黙っていません。トランプ大統領の発言やツィッターでの投稿の「ファクト・チェック(事実確認)」を連日伝えています。専門のサイトもできました。定評があるポリティファクトによりますと、去年の選挙戦でのトランプ候補(当時)の発言は約70%が事実に反していました。大丈夫かと思います。

選挙戦でトランプ氏は「メキシコが強姦犯やギャングを輸出している」と主張。大統領就任後も同様の主張を続け、主にメキシコ人を対象にしたヒスパニックの不法移民の取り締まりを強化しました。国境の壁の建設は公約の柱の一つです。また、テロリストは外国から来るとして、6日にイスラム圏6カ国の人の入国を一時禁止する新たな大統領令に署名しました。トランプ大統領の主張は事実に基づいているのか。

ニューヨーク・タイムズが、不法移民に関する調査をまとめました。それによりますと、アメリカ国内には1100万人の不法移民がいると推定されています。その約半分にあたる620万人はメキシコ人。グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラスが続きます。不法移民が多い5番目以降は、中国、インド、韓国が続きます。メキシコから来た不法移民が確かに多いのですが、中国人の不法移民も26万8000人いると推定されています。

重罪はどうか。1100万人の不法移民のうち2.7%に相当する約30万人が重罪を犯していました。高いように思えますが、全米平均を下回っています。また、過去5年間、不法に国境を越えたメキシコ人が減り続けていることも明らかにになりました。その反面、ビザ(査証)が失効した後も滞在を続ける不法移民が増える傾向にあります。

危険は外からではなく、内部から起きる。不法移民の取り締まりを強化、移民を制限しても、犯罪が劇的に減る可能性が低いことをデータが示しています。トランプ大統領の行動が的外れになっている可能性があります。トランプ大統領にとって必要なのは、事実を正確に、そして客観的に伝える補佐官かもしれません。


[March 07, 2017]  No 031843606

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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