2分でわかるアメリカ

2017/03/04トランプ重要閣僚が通貨介入?

アメリカのトランプ政権の幹部がメキシコペソ相場を押し上げた。「実に珍しいことが起こった」とフィナンシャルタイムズが伝えました。

ウィルバー・ロス商務長官は3日、CNBCの朝の番組に出演、メキシコとカナダと北米自由貿易協定(NAFTA)を再交渉することを優先すると述べました。その上でロス長官は、メキシコ政府と通貨を安定させるための策を協議するようホワイトハウスのスタッフに求めたことを明らかにしました。

1994年末から1995年はじめにかけてメキシコの通貨ペソが急落しました。いわゆる「テキーラ危機」です。当時のアメリカの商務長官は中央銀行と連携し、通貨安定に貢献しました。ロス長官の発言にはこのことが背景にあったとみられます。

3日の欧米マーケットでは、全体的に新興国通貨が小動きでしたが、メキシコペソは個別に急上昇しました。対米ドルでは2%も値を上げました。ロス長官の発言が影響したことは明らかです。

メキシコペソは去年以降、下落基調が続き、年初から最安値水準で推移しています。トランプ大統領が「メキシコとの国境沿いに壁をつくる」、「国境税を導入する」と発言するたびにメキシコペソが急落しました。

こうした中で、トランプ政権で重要な地位を占めるロス長官の発言でメキシコペソ相場が急上昇したことは確かに珍しい。ロス長官は「米ドル/ペソ相場を安定させるメカニズム(仕組み)を検討する必要がある」と力説しました。ただ、通貨政策はFRBや財務省の領域。それを配慮したのか、「メキシコペソの安定はNAFTAをめぐる再交渉を成功させる」とつけ加えました。巧みな交渉と戦略で破たん企業を再生させビリオネアになった79歳の商務長官。経験と自信が発言ににじみ出ていました。

 
[March 03, 2017]  No 031843604

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2019.04.25 更新日本であまり報じられない問題日本のメディアがほとんど報じないのに、海外では大きく伝えられる。日本国内とは全く別の視点で報じられる。日本の役所が絡む問題、日本にネガティブな問題はこれらの傾向…
  • 2019.04.24 更新ソフトバンク孫氏、個人投資で大損社会現象と言えるほど騒がれたビットコイン。インターネット上の仮想通貨です。中国でのブームが去った後、日本の個人投資家が積極的に買ったとされています。2017年1…
  • 2019.04.23 更新不動産低迷、シドニー、ロンドン、ニューヨークオーストラリアの住宅価格の下落が顕著です。西端のパースはピークから18%下落。最大都市シドニーは14%ダウン。メルボルンの住宅価格は10%下げました。供給過剰、…
  • 2019.04.20 更新ビバリーヒルズ90210に住む、いくら必要アメリカ人の一部の間で「50/30/20ルール」という指針があるそうです。手取り収入の50%は必要経費。住宅ローンや家賃、食料品、ガソリンや公共料金、保険など生…
  • 2019.04.19 更新外為は通常で株は休場、わかりづらい祝日祝日は祝日。日本人なら誰でもそう思います。アメリカは違う。連邦政府が祝日に指定しているのに、地域によって休みにならないことがあります。逆に、連邦祝日ではないのに…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ