2分でわかるアメリカ

2010/10/21聞いちゃ駄目、言っちゃ駄目


アメリカの軍隊に17年前に導入されたルールが全米で話題を集めています。Don't ask. Don’t tell、つまり、聞いても言っても駄目ですよ、というルールです。何のことか良くわからないと思いますが、自分がゲイまたレズビアンであることを明らかにしている人は軍隊に参加することを出来ません、というルールです。

一部の同性愛者グループが、このルールはおかしいのではないかと言い出し、人気歌手のレディー・ガガなどの応援もあって全米に広がりました。同性愛者が多いアメリカでは非常にデリケートな問題で、このルールを撤廃するかどうかを議論していた議会は、結論を来月の中間選挙後に延期することを決めました。

こうした中、裁判所が軍のルールは憲法違反とする判断を示しました。これを受けて、軍は自分がゲイであると宣言している人の入隊申請も今週から受付始めました。

自分がゲイやレズビアンであることを明らかにしていない軍人が大勢いることも事実です。2007年末時点で、現役の軍人の少なくとも6万5000人退役軍人の100万人が同性愛者だったことが議会証言で明らかになっています。過去に入隊後にゲイであることを明らかにした軍人は、解雇されています。  

寝起きをともにするだけに、軍人の心境は複雑です。今後は、自分がゲイだと明かした人も入隊し、さらに同性愛者が増えることが予想されるからです。

カリフォルニアなどリベラルな地域では、同性愛者に寛容なのですが、アメリカは広く、保守的な中西部では今回の事態の進展を深刻に受け止めています。中間選挙でも大きな争点になっています。

オバマ大統領は、同性愛者の権利の拡大に前向きに取り組んできました。しかし、今回は安全保障の要となる軍の問題であり、さらに議会が絡み、中間選挙も近いことから、オバマ大統領の悩みの種になっています。

[October 20, 2010] No 010273

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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