2分でわかるアメリカ

2017/02/17「トランプ失脚」の可能性は

共和党のリチャード・ニクソン第37代大統領ほど、多くの功罪を併せ持つアメリカの大統領はいません。国内政策では、公共インフラ投資や雇用促進での功績が評価されました。 外交では、ベトナム戦争の終結のほか、冷戦の緊張緩和(デタント)で多大な功績をあげました。評価が分かれますが、金と米ドルの固定比率での交換を停止した「ドルショック(もしくはニクソンショック)」でも知られています。

歴代大統領の中で唯一、任期途中で辞任したのもニクソン大統領です。再選をかけた大統領選で民主党の施設への不法侵入と盗聴を命じたことが発覚。権限を乱用して司法を妨害しようとたことも批判され、辞任に追い込まれました。いわゆる「ウォーターゲート事件」です。

40年以上も前の「ウォーターゲート事件」が今週に入りアメリカのメディアで何度も語られています。就任したばかりのトランプ第45代大統領を取り巻く環境が、当時の状況と類似しているからです。常識を覆す政策、インフラ投資、雇用促進、司法妨害、権限濫用も共通したキーワードです。

「ウォーターゲート事件」のスクープで知られるワシントン・ポストは16日、「ホワイトハウスにいる頭が良い人がなぜ馬鹿げたことをするのか。トランプ大統領が指示しているからだ」とするコラムを掲載しました。ニューヨーク・タイムズは、「トランプ大統領のロシアとの特殊な関係を捜査すべきだ」と社説で主張しました。

さらにCNNは昨夜、不適切なロシア政府との接触で辞任したフリン大統領補佐官をめぐる混乱の続報の後、「ウォーターゲート事件」を詳しくまとめたビデオを流しました。「小さく始まり、劇的なエンディングだった」と解説しました。

この問題を当コラムで連日取り上げるのは、ワシントンでいま起こっていることが、日本で伝えられているより深刻だと考えるからです。フリン補佐官の辞任をきっかけにした混乱が、今後どう発展するかは予断を許しません。議会と司法当局が重要な鍵を握っています。

イギリスのブックメーカー(賭け屋)大手のラドブロークスが、トランプ大統領の失脚に関する賭けを提供しています。「ドナルド・トランプ・スペシャルズ」と名付けられたオッズ(確率)で、年内に失脚するとの予想が急速に増えています。


[February 16, 2017]  No 031843594

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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