2分でわかるアメリカ

2017/02/03米豪同盟の危機、トランプ暴言に激震

昨夜、オーストラリアのシドニーから成田に着きました。約10時間の移動中、オースラリアとアメリカの関係が急激に悪化していました。

移民国家のオーストラリアは、伝統的に移民だけではなく難民も積極的に受け入れてきました。ANZのチーフエコノミストによりますと、海外で生まれたオーストラリア人は国民全体の28%、そして親が海外で生まれたオーストラリア人は48%にも達します。移民や難民に寛容なのは、そうした背景があります。

ただ、難民申請をした外国人を全て受け入れるわけではありません。凶悪な犯罪歴がある難民の受け入れは拒否、南太平洋のナウルとパプアニューギジアにあるオーストラリア政府の施設に収容しています。現在、約2000人が収容されていますが、ほとんどはボートで渡った密航者、その中にはイラン、イラク、ソマリア出身者が含まれています。つまり、トランプ大統領が入国を一時禁止したイスラム圏7カ国のうちの3カ国の出身者です。

人権派のアメリカのオバマ前大統領とオーストラリアのターンブル首相は去年11月、収容されている難民の一部をアメリカに移送することで合意しました。この2カ国合意が今回、大問題を引き起こしました。

1月28日、トランプ大統領がオーストラリアのターンブル首相と電話で会談しました。この中で、ターンブル首相が難民受け入れの合意を再確認しましたが、これが地雷となりました。ワシントンポストによりますと、トランプ大統領が会談中に激怒。2カ国合意について「次のボストンのマラソン大会に爆破犯をオーストラリアが輸出しようとしている」とした上で、「ばかげた合意」は受け入れられないと拒否しました。1時間の予定だった電話会談はわずか25分で打ち切られました。トランプ大統領はこの日、ロシアのプーチン大統領や安倍首相とも電話で会談しましたが、ターンブル首相との会談は「最悪だった」と評したそうです。

アメリカとオーストラリアは長年の同盟国。特に軍事面で、アメリカにとってオーストラリアは「最も信頼出来るパートナー」の一つです。その同盟間関係が大きく揺らいだ形で、オーストラリア国内に激震が走っています。
 
[February 02, 2017]  No 031843584

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2019.04.25 更新日本であまり報じられない問題日本のメディアがほとんど報じないのに、海外では大きく伝えられる。日本国内とは全く別の視点で報じられる。日本の役所が絡む問題、日本にネガティブな問題はこれらの傾向…
  • 2019.04.24 更新ソフトバンク孫氏、個人投資で大損社会現象と言えるほど騒がれたビットコイン。インターネット上の仮想通貨です。中国でのブームが去った後、日本の個人投資家が積極的に買ったとされています。2017年1…
  • 2019.04.23 更新不動産低迷、シドニー、ロンドン、ニューヨークオーストラリアの住宅価格の下落が顕著です。西端のパースはピークから18%下落。最大都市シドニーは14%ダウン。メルボルンの住宅価格は10%下げました。供給過剰、…
  • 2019.04.20 更新ビバリーヒルズ90210に住む、いくら必要アメリカ人の一部の間で「50/30/20ルール」という指針があるそうです。手取り収入の50%は必要経費。住宅ローンや家賃、食料品、ガソリンや公共料金、保険など生…
  • 2019.04.19 更新外為は通常で株は休場、わかりづらい祝日祝日は祝日。日本人なら誰でもそう思います。アメリカは違う。連邦政府が祝日に指定しているのに、地域によって休みにならないことがあります。逆に、連邦祝日ではないのに…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ