2分でわかるアメリカ

2017/01/19トランプ氏、ドル高政策転換は本気か

今週はロンドンに滞在しています。銀行や政府関係者らとのミーティングでは、当然ながらブレグジット(イギリスのEU離脱)が話題にのぼりました。ただ、イギリス人がいま最も気にしているのはブレグジットではなく、アメリカがどう変わるかということだとわかりました。意外でした。

トランプ次期大統領に関するイギリスの主要紙の記事の多さにも少し驚きました。18日の主要紙では、ドル高をけん制したトランプ氏のウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューが詳しく報じられていました。去年6月の国民投票以降にポンド相場が大幅に下落したこともあり、関心が高いのだと思います。

インタビューの中でトランプ氏は「我々の通貨は強すぎる」と述べました。中国との貿易関係に関する発言に答えたもので、「アメリカの企業はドルが強すぎて競争できない」との見方を示しました。また、トランプ氏は、税制改正に関する発言の中でも「強いドルは利点もあるが、不利な点が多くある」とドル高をけん制しました。

1990年代半ば以降、アメリカ政府は「強いドル政策」を維持してきました。1998年、ビル・クリントン政権のルービン財務長官(当時)は「強いドルはアメリカの国益だ」と述べました。トランプ氏の発言は、ドル高政策を転換することを示唆したものだと幅広く受け止められました。

ブルームバーグは「トランプ次期政権が弱いドルを好むことを明確にした」としたうえで、為替相場に影響を与える選択肢が5つあると解説しました。口先介入、協調介入、単独介入、政府系ファンドの創設、そして保護主義によるドル安誘導の5つです。最後の保護主義の可能性が最も高いかもしれません。これまでの発言からそう思います。

17日の取引では、トランプ氏の発言でドルが全面安になりました。今後、通貨をめぐるトランプ氏の発言が増え、その度に発言が幅広く報じられ、ドルの変動率が高くなる予感がします。
 


米国東部時間19日は移動のためお休みします。20日に再開します。

 [January 18, 2017]  No 031843576

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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