2分でわかるアメリカ

2017/01/12好かれるオバマと嫌われるトランプ

バラク・オバマ大統領が10日、2期8年を締めくくる最後の演説をしました。慣例に従ったもので、弁護士としてキャリアをスタートしたシカゴを会場に選びました。半年近くかけて準備したとあって、アメリカ人に勇気と希望を与える素晴らしい演説でした。

演説の中でオバマ大統領は、民主主義を守るため、経済的な不安、人種や男女の差別、利己主義などを回避し、結束することの重要性を訴えました。ミシェル夫人に言及する部分では涙ぐみました。

テレビを通して、長い間に渡ってオバマ大統領をウォッチしてきましたが、高い志を持ち、正義感が強く、裏表がない優しい人だとの印象を抱きましたいわゆる「いい人」であり、支持率は現在も55%程度と高い水準を維持しています。ただ、高い志を実現したかどうかは疑問も残ります。医療保険制度を抜本的に変えることを狙った「オバマケア」は失敗だったと個人的に思います。景気が回復、雇用が増えましたが、格差が一段と広がりました。

オバマ大統領が好まれるいい人であるのに対し、ドナルド・トランプ次期大統領は「嫌われ者」だと思います。感情をむき出しにして平気で個人を侮辱するトランプ氏は、オバマ大統領と対照的です。

トランプ氏は去年7月以来となる11日の記者会見で、一部の記者に対し「あなたの会社は問題だ」として質問を受けないなど「トランプ・スタイル」を貫きました。会見では、ロシアがハッキングしたことは事実だとしながらも、対ロ関係を重視する姿勢を示しました。また、通商政策では「アメリカ第一主義」を重視する方針を鮮明にしました。新鮮味はありませんでしたが、アメリカの方向が大きく変わるという印象をあらためて残しました。

オバマ大統領は「we can change, we did change(私たちは変われる。私たちは変わった)とお別れの演説を締めくくりました。16時間後のトランプ氏の会見を聞いて、本当にアメリカを変えるのはトランプ次期大統領ではないかと思いました。

 
 [January 11, 2017]  No 031843572

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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