2分でわかるアメリカ

2017/01/07「お金持ちの掟135」常識が非常識になる特殊な世界

新車を購入する契約書に署名したら中古車になる。例えばアメリカでは、500万円のメルセデス・ベンツの新車を購入した瞬間に価値が400万円に下がると言われます。走行距離が限りなくゼロでも、中古車になると価値が20%程度落ちるのです。

一方、知人の一人は今週、所有するフェラーリを売却しました。購入価格は日本円に換算して約2000万円。売却価格も2000万円でした。3ヶ月ほど使用しましたが、欲しいモデルがもう直ぐ入荷するのでディーラーに買い取ってもらいました。手続きは4カ所に署名するだけで直ぐに終わりました。

ホノルルのフェラーリのディーラーには年20台の新車が入ります。買いたい人は大勢いますが、誰もが買えるわけではありません。セールスマンからアロケーション(割り当て)をもらったほんの一部の人だけが購入できます。アロケーションをもらう前には過去の購入履歴や資産状況などの審査があります。一旦受け入れられれば、新車より中古車の方が高いので損をしません。知人はセールスマンに毎年高級ワインでお礼をしています。ここでは、顧客とセールスマンの立場が逆転しています。

時計のパテック・フィリップ。オーデマ・ピゲ、ヴァシュロンと並ぶ世界3大高級時計メーカーです。1番人気の「ノーチラス」の新品を正規価格で購入するのは極めて困難。知人によりますと、購入者リストに入った日本人は平均で6個所有しているそうです。入手後は未使用のまま自宅金庫などに保管します。毎年10%程度値上がりするので、銀行に預けるよりよっぽどいい。資金繰りに困ったら、簡単に高値で売却できます。

エルメスのバーキン、ナパワインのスクリーミング・イーグルなども同じ経済学が成り立ちます。アロケーションをもらえる人だけが得をする。共通しているのは、人気があるのに数が極端に限られていること。店頭に並ぶことはありません。大事なのはセールスとの信頼関係とバイヤーの「即決」。「掟」のようなものです。一旦購入を断れば、二度とアロケーションをもらえない特殊な世界。

世界の99.9%と残り0.1%のお金持ちの常識は真逆です。アロケーションをもらうことは、損をしないお金持ちクラブの部屋の鍵と言えるかもしれません。

 
 [January 06, 2017]  No 031843569

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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