2分でわかるアメリカ

2016/12/312017年の世界、米から南ア、トルコまで

激動の2016年がもうすぐ終わります。6月末のイギリスの国民投票がEU離脱を可決、11月はじめのアメリカ大統領選では異色のドナルド・トランプ氏が勝利しました。いずれも大方の予想を裏切る結果で、世界のマーケットが動揺しました。また、12月のイタリアの国民投票が政権の方針を拒否、EUの行方に不安を残しました。

新興国も激動の1年でした。トルコでは7月にクーデター未遂事件が発生。非常事態のもとでエルドアン大統領が権力を強化、大規模な粛清が続きました。南アフリカではズマ大統領とゴーダン財務相の対立が激化。そして、経済減速が鮮明になる一方、中国が軍事強化に動きました。

振り返ってみると2016年は政治が世界を動かした1年でした。2017年も政治がマーケットに大きく影響しそうです。

もっとも世界に影響すると予想されるのがアメリカです。1月20日にトランプ氏が第45代大統領に就任します。CNNは、トランプ政権がどう動くのか予断を許さないと解説しました。中国やロシアとの関係、メキシコとの国境に壁を築くのかについてははっきりしません。対日政策も見えません。減税、大型の公共投資、規制緩和への期待を背景に、金利上昇、株高、米ドル高が進みました。しかし、期待が維持されるか、失望に変わるのかは、誰もわかりません。

FRBの金融政策もマーケット、特に米ドル相場を動かしそうです。FRBは2017年に3回利上げすることを示唆していますが、経済次第で回数が増えることも、減ることも予想されます。

2017年4月から5月にかけてフランスの大統領選が実施されます。極右のル・ペン氏が支持を伸ばしていますが、選挙で勝利する可能性は極めて低いと予想されています。秋に予定されているドイツの総選挙では、メルケル首相が政権を維持する公算。政治のサプライズはなさそうですが、ユーロは対米ドルでパリティ(1.0)まで下落すると予想するエコノミストが多くいます。ノーベル経済学者のステグリッツ教授はフォーチュンへの寄稿文で「2017年にユーロが崩壊する可能性がある」との見方を示しました。一方、イギリスのメイ政権は3月末に予定通りEU離脱を正式に通達するとみられます。先行きが不透明で、英ポンドの重石になると指摘されています。

ファイナンシャルタイムズは、2017年の見通し記事で原油価格が50米ドルを超えて推移しそうだと伝えました。資源国通貨にはポジティブか。南アフリカのズマ大統領は低飛行ながら政権を維持する公算です。トルコリラは、FRBの利上げの影響を最も受ける新興国通貨になるとみられています。トルコでは6月にも大統領に権限を集約する憲法改正の是非を問う国民投票が実施される方向ですが、エルドアン大統領がトルコリラ相場の押し上げに動くかが注目です。FRBの利上げは豪ドルにも大きく影響すると予想されます。米豪の金利が逆転する可能性が高く豪ドル相場を圧迫しそうです。

2017年もアメリカを中心とした世界の情報を発信します。よろしくお願いいたします。

良いお年をお迎えください。

 [December 30, 2016]  No 031843566

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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